2021年 07月 11日
「片桐功敦展 花と命」 最終日

大根+西瓜+松+白石陽一
床の間のいけばな。会期中はずっと床の間に花はありませんでしたが、会期終わりにようやくいけたのが、西瓜と大根でした。華道家にとっていけばなの主となるステージは床の間である訳ですが、そこに敢えてこのモチーフをもってきたことに片桐さんの思いが表われます。
古来より花は神仏へ供えられる意味があり、また神事の供え物も同様に米を始め酒や魚、そして野菜も神様へ奉るものです。そういう意味で西瓜も大根も花材として捉えられるというのが、片桐さんの考えです。そういう視点でみると大根はまるで手を合わせて松を捧げているようにも見えますし、西瓜が福の神の顔のようにも見えてきます。
片桐さんの花への向き合い方を見ていると、既成価値に囚われず、また花の表裏にある美しさとおぞましさを表現するなど、前衛華道家の故・中川幸夫さんの活動と重なります。しかし前衛が盛んであった70年代とは違い、片桐さんの花の意味が現代にどう届くのか。そこが最も興味深いのです。2000年代になって暮らしの中に同化する花、うつわ、音楽の中にあって、この花の意味を問い掛けてみたいと思うのです。
2021年7月3日(土)~11日(日)
11時~最終日は17時迄
花器:森岡成好、森岡由利子、阿曽藍人、東亨、森岡希世子、森田春菜、白石陽一、山田隆太郎、山本雅彦、他および骨董
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
片桐功敦(かたぎり あつのぶ)
1973年 大阪府生まれ
1988年~ 六年間、米国留学
1997年 花道みささぎ流三代目家元を襲名
2001年 弘川寺(大阪府河南町)にて初個展
2005年 主水書房を開設
2008年 写真集「見送り/言葉」を刊行
2015年 南相馬市にて「SACRIFICE」を開催
2021年 現在、大阪府堺市を拠点に活動

by sora_hikari | 2021-07-11 16:30 | 片桐功敦展