「豊増一雄展 哀愁の青瓷」3日目

豊増一雄展 哀愁の青瓷」の3日目。

定窯白磁のような酸化焔による柔らかな牙白色に刻花蓮弁紋の七寸鉢です。実際の定窯は薄造りゆえに焼成時の反りを避けるために伏せ焼きしていましたが、豊増さんのこれは薪窯の熱を受けて口縁が大きく歪んでいます。峻厳な仕上がりを求めたであろう北宋の宮廷にこの鉢を献上したならば、斬首も覚悟せねばならなかったかもしれませんが、一方での日本の焼き物の不完全性を受け入れる美意識にあっては、作者の意図が抜けた無為自然な姿として認められるでしょう。敢えて白磁に生掛けし、匣鉢に入れずに薪窯で焼く。この鉢の揺らぎは豊増さんの狙うところなのです。

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豊増一雄展 哀愁の青瓷

202165日(土)~13日(日) 

営業時間 11時~18時 

ギャラリーうつわノート 

埼玉県川越市小仙波町1-7-6


プロフィール

1963年 中国上海市生まれ

1990年 京都府立陶工訓練校 修了

1990年 八世高橋道八に師事

1993年 佐賀県有田町に戻り作陶

1994年 同地にて陶房七〇八を開窯

2021年 現在、佐賀県有田町にて作陶


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by sora_hikari | 2021-06-07 19:14 | 豊増一雄展2021

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