2021年 05月 31日
「豊増一雄展 哀愁の青瓷」開催のお知らせ
6月5日(土)から13日(日)に開催する「豊増一雄展 哀愁の青瓷」のご案内です。
豊増一雄展 哀愁の青瓷
2021年6月5日(土)~13日(日)
営業時間 11時~18時
作家在廊日 6月5日、6日
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
古代中国の皇帝に愛された青磁。翡翠を模したその色によって高貴な器として珍重されました。越州窯、耀州窯、龍泉窯、汝窯など歴史を誇る名窯も多くあります。日本にも平安時代に渡来し、鎌倉から安土桃山時代に茶の湯の世界で取り上げられた特別な存在でした。青磁の青は釉薬に含まれる微量な鉄分によって発色しますが、顔料の色ではなくガラス化した釉薬の中の泡が乱反射することで多様な青が生まれます。現代もその神秘的な青に魅了されて青磁を手掛ける陶芸家が各地にいます。その多くは天青色や砧青磁など究極の色を求める方向にあるように思います。
さて佐賀県有田町の豊増一雄さんの展覧会も3回目を迎えます。初期伊万里や古染付・祥瑞など古陶磁につながる作行の染付や白磁が代表作ですが、今回はかつて故宮博物館で見た北宋の刻花や青磁の感動を思い出して形にしたそうです。豊増さんの青磁は染付と同様に薪窯で焼かれ侘び枯れの風合いが特徴ですが、それは極める青ではなく、くぐもったような青鈍色をしており、不思議と見る人の感傷的な気持ちを呼び起こすのです。不鮮明であったり歪であったり、時に骨董も上手よりも下手のものに心が動かされるものです。青磁と書かず、敢えて古きを表す青瓷とするのも作者の気持ちの表れでしょう。今展ではこのような哀愁のある青瓷をはじめ、白磁刻花、染付などをご覧いただけます。どうぞ有田から届く豊増エレジーをご堪能ください。店主
プロフィール
1963年 中国上海市生まれ
1990年 京都府立陶工訓練校 修了
1990年 八世高橋道八に師事
1993年 佐賀県有田町に戻り作陶
1994年 同地にて陶房七〇八を開窯
2021年 現在、佐賀県有田町にて作陶
by sora_hikari | 2021-05-31 18:08 | 豊増一雄展2021