「大前悟展 幽世の陶」4「大前悟展 幽世の陶」4日目

大前悟展 幽世の陶」の4日目。

大前悟さんの茶碗、リム皿、ぐい呑。いずれも地元・淡路島の原土を使っていますが、ユニークなのは雨が降った後に露出した地層をスコップでそのまま掬って、土を捏ね合わせずに焼いている点です。淡路島の原土の断面を活かした「地層シリーズ」。新作です。

大前さんの作品は古典を本歌とする作風に目が留まりがちですが、実のところ、その本歌の持つ風合いを淡路島を中心とする粘土で如何に表しているか、その点にもっと着目するべきでしょう。今は原土+薪窯による焼き物を手掛ける人も増えていますが、単に手を加えぬ素材を古典的手法で振り回しても、良い焼き味が得られるとは限りません。例えるなら自然農法で育てた素材だけで美味しい料理が成立するのではなく、シンプルな構成ゆえに如何に旨味を引き出すかが、料理人の技量の問われるべき仕事ではないでしょうか。

大前さんの作品の魅力は、古典の形を借りたその奥にある土と焼きの表現です。この「地層シリーズ」のような手つかずの土をそのまま使いながら、焼きの味わいを引き出す。この単純な構成の器に大前さんの力量が浮かび上がります。優れた土の料理人。そう思います。

写真順に
19)淡路島原土楽茶碗
11)鬼ヶ島須恵器リム皿
10)鬼ヶ島楽リム皿
45)鬼ヶ島土器ぐい吞
46)鬼ヶ島原土楽ぐい吞

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大前悟展 幽世の陶(かくりよのすえ)

2021年4月3日(土)~11日(日)

11時~18時 最終日は17時迄

うつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6


プロフィール

1972年 大阪に生れる

1990年 神戸にて陶芸を始める

1999年 大阪にて初個展

2001年 信楽に移住

2003年 全地下式穴窯を築窯

2010年 兵庫県淡路島市に移住

2010年 半地下式穴窯を築窯

2021年 現在、同地にて作陶


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by sora_hikari | 2021-04-06 18:38 | 大前悟展

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