2021年 03月 13日
「山本雅彦展 無国籍百貨」8日目-2
「山本雅彦展 無国籍百貨」は明日3/14(日)17時で終了させて頂きます。
写真は奈良県曽爾村の山本雅彦さんの仕事場の様子です。閑静な山間の村の古民家で、陶芸に集中するには良い環境です。
山本さんは若い頃にパンクにはまったそうです。1981年生れですから、世代に的には第二次・第三次のリバイバルのパンクブームでしょう。80年代限定の古いレコードを聴きまくったとか。その中でもザ・クラッシュが好きだったそうです。ボーカル兼ギターリストだったジョー・ストラマーに憧れていて、彼の「パンクはスタイルではない、姿勢だ」という言葉には影響を受けたそうです。
工芸の世界でもそうですが、確かに前衛を振舞う奇を衒ったものよりも、既成価値を打ち破る静かな作品の方に心を打たれるます。パンクな精神とは、恰好や見た目じゃなくて、生き方であり向き合い方ということでしょう。
山本さんは京都の村田森さんのところで約3年間アシスタントとして手伝っています。一般的には師匠のもとで学べば、少なからずその影響を受けたものを作りますが、山本さんの場合は、ほとんど村田森さんの器のスタイルに重なるところがありません。これは敢えて師匠の真似はしないという山本さんならではの信念のようです。しかし大いに影響は受けたと。それは休まずに食器をひたすら作り続け、適正な価格で多くの人に届ける仕事ぶりとその意思の強さだと聞きました。まさに学ぶべきは「スタイルではなく姿勢」だったということです。
さて山本さんのパンク好きにはもうひとつ話があります。UKのパンクもさることながら、それが世界に広がって変化していった地域のパンクが好きだそうです。例えばスウェーデンのパンクにバグパイプが取り入れられていたり、ブラジルでシャウトするパンクがあったり。北欧、南米、欧州の各地域で独自性をもったパンクの面白さに惹かれたそうです。
この話もまた山本さんらしさを感じます。特徴のある文化がそれぞれの国に伝わって独自にローカライズされて、その土地のものに根付いていく。その自発生的な変化に独自性が生まれる。まさに土俗的、民俗的な印象のあるうつわを作る山本さんが、特に地域を限定せずに自分なりに咀嚼して独自の世界観を築いていく。その在り方は山本さんの作品づくりに重なります。「オリジナリティを求めたいけれど、特殊なアート作品をつくりたい訳ではない。うつわから派生した用途のある面白いものを作りたい。」山本さんの言葉です。
会期はあと1日となりました。
【山本雅彦展オンラインストア】https://utsuwanoteshop.stores.jp/
【入店に関して】緊急事態宣言が延長となりましたが、今展は予約不要でご来店頂けます。またコロナ感染防止対策として、手指消毒の励行、一定間隔の換気、同時入店者数の制限(6名様迄)を行います。皆様のご理解とご協力をお願い致します。
山本雅彦展 無国籍百貨
2021年3月6日(土)~14日(日)会期中無休
営業時間 11:00~18:00 最終日は17時迄
うつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
プロフィール
1981年 奈良県高取町に生まれる
2003年 京都府陶工高等技術専門校入校
2004年 村田森氏に師事
2007年 奈良県高取町にて独立
2012年 奈良県御所市に工房と住居を移す
2017年 奈良県曽爾村に移住
2021年 現在同地にて制作
by sora_hikari
| 2021-03-13 17:00
| 山本雅彦展
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