「林志保 展 Private Monuments」6日目-3

今展の副題である「プライベート・モニュメント」を象徴する作品です。複数の要素が複合的に構成されひとつの造形を成しています。かつて屋外に多く設置されたモニュメントを室内向けにダウンサイズした印象です。

最近の陶オブジェは自然物の延長にあるような種子や朽ちた残欠のようなものを多く見ます。それらは作者の意識を抑制し、作為を気づかせない無垢な存在を表現しています。一方の林さんのこれらの作品は、作者が意図した彫刻的アプローチです。造形のための造形。物体としての象徴を求める意識。この点がむしろ新鮮に思えます。

林さんのこの作品群は、ダダイズムの流れにあった彫刻家ジョン・アルプの作品を彷彿させ、いわば前衛的な抽象彫刻的。しかしかつてとても前衛的だった造形が、今はレトロフューチャーのように捉えられる。例えればミッドセンチュリーの家具ような、かつてのモダンが今やレトロモダンとして復刻されるような逆説的な美意識です。この感覚が林作品のポイントでもあるでしょう。

「自然を模倣したいとは思わない。再現するのではなく,生産したいのだ。」ジョン・アルプの言葉を林作品のひとつの解釈として記しておきましょう。

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宛先
utsuwanote@gmail.com

林志保 展  Private Monuments
2021年1月9日(土)-17(日)※入店は事前予約制
11:00~18:00 
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6
049-298-8715

1984年 兵庫県神戸市生まれ
2008年 京都市立芸術大学 工芸科漆工専攻 卒業
2014年 多治見市陶磁器意匠研究所修了
2020年 現在、岐阜県多治見市にて製作

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by sora_hikari | 2021-01-14 18:12 | 林志保展2021

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