2020年 12月 13日
「壷田和宏・亜矢展 大地と繋がる器」ありがとうございました
「壷田和宏・亜矢展 大地と繋がる器」は本日無事に終了しました。
今展は本来4月に開催予定でしたが、コロナ感染拡大によって会期をずらして12月となりました。しかし半年以上を経ても一向に収束せず、さらなる第三波が広がる中、宮崎県からわざわざ荷物と共に来て下さった壷田さん、災禍を厭わずご来店下さいましたお客様、遠方よりオンライン販売をご利用下さいました方々、皆様に心より御礼申し上げます。お陰様で心温まる展示会となりました。
壷田さんたちの器を見ていると、地に足のついた力強さを感じます。現代における土着の器。今や器もネットを通じて消費財に化した印象もしますが、ポストバブル時代に人々が求めたのは外形的スタイルだけでなく、どう足元を見つめ直すかという問いかけであったように思います。その価値観のうえに、暮らしに根差した「うつわの思想」が生まれたのではないでしょうか。
生活工芸という言葉には様々な解釈がされますが、生活=暮らしとするなら、壷田さんたちのやって来た土着の器づくりは、もうひとつの生活工芸の形であったと思います。しかしその後の行儀のいい「暮らしのうつわ」の広がりともまた違って、70年代、80年代の時代のパッションを根底に宿している気がします。
壷田さんと陶芸の話をしていると、端々に「鯉江先生(鯉江良二さん)」に対する尊敬の言葉が出てきます。人は何にも捕らわれずに、こんな生き方が出来るんだ、と。陶芸の技術論ではなく、きっと生き様に深く影響されたのではないでしょうか。鯉江さが切り開いてきた生き方を、懐古的に語るのではなく、今のこととして、そして新しい価値をもった器として壷田さんたちは表現し続けるのでしょう。


by sora_hikari | 2020-12-13 20:09 | 壷田展