「鶴野啓司 展  名もなき土」開催のお知らせ

「鶴野啓司 展  名もなき土」開催のお知らせ_d0087761_17293822.jpg

11月21日(土)から29日(日)に開催する「鶴野啓司 展  名もなき土」のご案内です。

鶴野さんは「名もない土」を使いたいと言います。それは窯業地の由緒ある土ではなく、身の回りから手に入る名もなき土です。決して使い易い土ではありません。その分、土ごとの豊かな個性が活きています。伝統的なセオリーに沿っていない分、むしろ先入観無しに焼き物本来の美しさに気づくのです。

しかし原土を使い薪窯で焼成したからといって、決して良い器が出来る訳ではありません。狙いなく焼けば、驚くほど凡庸な器になる事はままあります。鶴野さんは、土造り、釉薬造り、ろくろ挽きの段階からどのような窯焚きにするかをイメージしながら進めていきます。単味の土の粗さ加減、釉薬の目の細かさ、ろくろの造りなど、約3ヶ月の一連の作業を通して、最終工程の窯焚きに意識を集中させていきます。どう釉薬を溶かすか、どう土から個性を引き出すか、その都度狙いを定めて工夫を重ねていきます。

一連の工程の中で最終段階となる窯焚きは、最も鶴野さんらしい器が生まれる瞬間です。それは土造りの時から想定した窯焚きを実現するとき。時にはエンジンをふかすように薪をくべて窯を焚くと言います。毎回細かな調整をしながら新たな試みを行います。鶴野さんの窯焚きはリスクを恐れず安定を狙いません。しかし加減を超えたそこに生れる現象は唯一のものです。

焼き物は、人類が物質の化学的変化を応用した最初のできごとです。きっと縄文時代以来、人々が焼き物に求めたのは実用と同時に、土を焼くことで得られる神秘的な体験だったのではないでしょうか。久しぶりの鶴野さんの個展です。今展は自ら茶碗と壺を主体にして臨みたいとのご意思です。焼き物作家として勝負の為所でしょう。貴重な機会になりそうで楽しみです。店主

鶴野啓司  略歴
1967年 栃木県大田原市生まれ 
1990年 大学卒業後、会社勤務
1994年 栃木県窯業指導所 修了 
1994年 栃木県益子町にて独立
2020年 現在同地にて制作

鶴野啓司 展  名もなき土
2020年11月21日(土)~29日(日)  
営業時間 11時~18時  
作家在廊日 11/21、22  
お茶会 11/22、23、28
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

「鶴野啓司 展  名もなき土」開催のお知らせ_d0087761_17293928.jpg


by sora_hikari | 2020-11-16 17:30 | 鶴野啓司展2020

<< 「鶴野啓司展」喫茶会のご案内 「市川陽子展 漆皮」ありがとう... >>