2020年 11月 10日
「市川陽子展 漆皮」4日目
「市川陽子展 漆皮」の4日目。
市川陽子さんの袋状の作品。
立体的に膨らんだこれらの作品は、革の水筒や革袋のごとく「皮革」が器胎として使われていることをより一層感じさせます。動物的で有機的な艶めかしい曲線や皺(しわ)。これが従来の定型的な漆器とは異なる点ではないでしょうか。
市川さん曰く、平面的に加工された革をこのようにあらためて立体化することで、あらたな生命を帯びるように感じます、と。手順通りに進める箱や盆と違って、型紙を用いず素材そのものに触発されて生まれる造形物。あらかじめスケッチもなく、その都度、そこにある素材に添って作る。それは決して柔軟ではなく、自分ではコントロールし兼ねる自己意識の外にあるもの。ここに魅力を感じているそうです。
縄文土器の原型は植物で編まれた籠であったり、革袋であったのではないか。その代用品として土器が生まれた。当初からそこに模様がつけられたのは、本来の植物や皮革に同様の装飾的な要素があったからなのかもしれない。市川さんが見ている漆皮(しっぴ)は、人類史の原点にある自発生的な道具に目を向けている節もあるのです。





市川陽子展 漆皮 SHIPPI
2020年11月7日(土)~15日(日)
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6
プロフィール
1985年 大阪府生まれ
2009年 京都市立芸術大学美術学部工芸科卒業
2011年 同大学院美術研究科漆工専攻修了
2020年 現在京都市にて制作


by sora_hikari | 2020-11-10 21:00 | 市川陽子展