2020年 10月 22日
「打田 翠 展 Planet Scape」6日目-3
「打田 翠 展 Planet Scape」の6日目-3。
MOON
楽焼の板皿です。窯から引き出された後に、土に含まれる成分が反応して発するドラマが映っています。どれひとつ同じ景色にはなりません。
打田さんは以前、グラデーションのある土を練り込んだ器を作っていました。縞模様の階調が美しい器です。この練り込みの技術が現在の作品に繋がってはいるのですが、今との大きな違いは管理された結果を求めるか、偶発的な美しさを求めるかの差になるそうです。
練り込みの縞柄は、焼成する前にすでにどんな結果が生まれるか分かってしまう。決まった結果に向かう作業。これが精神的に辛かったと言います。それに比べ、楽焼きや炭化は焼き物らしく、窯の中で起こる最終段階によって想像を超えた結果が生み出されます。
今はこのワクワク、ドキドキが堪らないのでしょう。しかし偶発的な表情を誘引するのは作者の意図と技術によるものです。焼き物らしい化学変化の表現は、絵画や彫刻とはまた違った作者の描き方なのです。

プロフィール
1983年 兵庫県神戸市生まれ
2005年 大阪芸術大学工芸学科陶芸コース卒業
2007年 多治見市陶磁器意匠研究所 修了
2020年 現在 岐阜県瑞浪市にて制作


by sora_hikari | 2020-10-22 18:01 | 打田翠展2020