2020年 09月 14日
「菅 祐子展 ファンタジア」のご案内
9月19日(土)から27日(日)に開催する「菅 祐子展 ファンタジア」のご案内です。
メキシコの古いフォークアートに出会う機会があり衝撃を受けたという菅祐子さん。カラフルな色や形をした人形や民芸品は、生命力が溢れており、その素朴で飾らない姿に強く心引かれ、アートはこういうものだという考えを捨てて自分も“もの”を作ってみようと考えるきっかけになったそうです。
メキシコには「死者の日(Día de muertos)」というお祭りがあって、日本のお盆のように故人への思いを馳せる日ですが、しっとりした日本とその様相はがらりと異なります。ガイコツを題材にした人形やメイクでパレードを行い、楽しく明るく祝うのが特徴です。死を恐れるのではなく、逆に死者とともに楽しく笑うというラテンアメリカ的な陽気な幸福感に包まれており、死を受け入れることによって現世を謳歌するのです。同じ土着文化でも閑寂を良しとする日本と、明るい太陽のもとで育まれた文化の違いは、菅さんの作る“もの”へ大きな変化をもたらしました。
版画→木彫→陶土と作品形態の変化に合わせて今春、東京から岐阜県多治見市へ制作拠点を移しました。美大時代は版画を学び、版画家として活動していましたが、今は立体作品を中心に独自のファンタジーの世界を生み出しています。3年前から始めた木彫作品は平面的で正面性の強いものが多かったのですが、昨年から陶土を使うことによって質感や表現の幅を広げています。天使、人魚、異国の人、動物、木や植物、壺など、空想から現実世界まで様々ですが、イメージ豊かにデフォルメされたモチーフを見れば、誰しもYUKO KANの幻想の森の中に引き込まれることでしょう。
今は個展を中心に活動し、直接自分のモノを選んでくれる人との繋がりで成りたっています。版画時代は作品を鑑賞物として受け取られる事が多かったのに対し、立体化することで受け手側が自分の所有物へと意識が変化したことが大きいと言います。例えば作品には顔のあるものが多いですが、その表情は不思議と前を見つめているだけです。感情なく、かといって冷たくなく。その素の姿に生れるストーリーは作者が決めるのではなく、受け手が決めていいのです。
菅さんの作品を選びながらも、実は選ぶ人自身の幸福感を映している。この変化こそメキシコのフォークアート同様に、作品がアートっぽく振舞うことを脱ぎ捨た結果であり、“もの”が選ぶ人の立場に移って、人生を謳歌しようと意識が逆転した表れだと思うのです。難しい理屈はいらない。技法を語ることに意味はない。ただこれを受け入れる豊かな心があればいい。この共鳴こそがYUKO KANファンタジアへの入口の鍵となるのです。店主
プロフィール
1981年 京都市生まれ
2006年 多摩美術大学大学院版画専攻修了
2006年 版画作品を発表
2017年 木彫の立体作品を発表
2019年 陶の立体作品を発表
2020年 東京から岐阜県多治見市に移住し制作活動を続ける
YUKO KAN fantasia
菅祐子展 ファンタジア
2020年9月19日(土)~27日(日)
作家在廊日 9月19日
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
by sora_hikari | 2020-09-14 09:00 | 菅祐子展