2020年 09月 08日
「松永圭太展 砂漠のゼブラ」4日目
「松永圭太展 砂漠のゼブラ」の4日目。
organism(有機体、生命体)と名付けれた作品。高さ30×幅22×奥行22cm。モニュメントのような白泥の塊に白黒の縦縞文と粉石文が施されています。
昨年ロサンジェルスでアーティスト・イン・レジデンスの機会があり、その際に着想が発展したという作品です。日頃使っている材料(土や道具)を海外に運べないために、自分を示すために持ち込んだ地元の景色を織り込んだシート。それは陶片の物原(ものはら)や錆びた壁面の、いわば朽ち行く景色でした。
生まれ育った岐阜県多治見市は、伝統の美濃焼の産地です。海外で自己の陶芸を示すには志野や織部といった美濃を代表するフォーマットがあるはずですが、松永さんはそこを軸にはしていません。しかし美濃で制作しているという意識は、ご自身のアイデンティティとしてあるのでしょう。現代の美濃焼とは何のか?彼の作品を見ているとその問い掛けを感じるのです。
考えてみれば、美濃焼は桃山時代に、日本で初めて外来の焼き物から離れ国産の独自性を産み出した地域です。その精神に学ぶなら、過去の志野や織部の様式を追うよりも、むしろ美濃焼き本来の進取の試みを受け継ぐことが、現代美濃の選択のひとつであるはずです。
全国でも有数の陶磁器の生産シェアを誇る美濃。その量産の町で培われた石膏型や模様づけの技術を、敢えて個人表現として取り入れる。その既成の方法と地元の原土から繰り出される現代的な美濃の焼き物。それは伝統的様式に対する彼なりのアイロニーなのか、オマージュなのか。松永作品の根幹にその反骨と気概を感じるのです。
organism(有機体、生命体)と名付けれた作品。高さ30×幅22×奥行22cm。モニュメントのような白泥の塊に白黒の縦縞文と粉石文が施されています。
昨年ロサンジェルスでアーティスト・イン・レジデンスの機会があり、その際に着想が発展したという作品です。日頃使っている材料(土や道具)を海外に運べないために、自分を示すために持ち込んだ地元の景色を織り込んだシート。それは陶片の物原(ものはら)や錆びた壁面の、いわば朽ち行く景色でした。
生まれ育った岐阜県多治見市は、伝統の美濃焼の産地です。海外で自己の陶芸を示すには志野や織部といった美濃を代表するフォーマットがあるはずですが、松永さんはそこを軸にはしていません。しかし美濃で制作しているという意識は、ご自身のアイデンティティとしてあるのでしょう。現代の美濃焼とは何のか?彼の作品を見ているとその問い掛けを感じるのです。
考えてみれば、美濃焼は桃山時代に、日本で初めて外来の焼き物から離れ国産の独自性を産み出した地域です。その精神に学ぶなら、過去の志野や織部の様式を追うよりも、むしろ美濃焼き本来の進取の試みを受け継ぐことが、現代美濃の選択のひとつであるはずです。
全国でも有数の陶磁器の生産シェアを誇る美濃。その量産の町で培われた石膏型や模様づけの技術を、敢えて個人表現として取り入れる。その既成の方法と地元の原土から繰り出される現代的な美濃の焼き物。それは伝統的様式に対する彼なりのアイロニーなのか、オマージュなのか。松永作品の根幹にその反骨と気概を感じるのです。
松永圭太展 砂漠のゼブラ
2020年9月5日(土)-13(日)会期中無休
11:00~18:00
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
プロフィール
1986年 岐阜県多治見市生まれ
2010年 名城大学建築学科 卒業
2013年 多治見市陶磁器意匠研究所修了
2016年 金沢卯辰山工芸工房 修了
2020年 現在、岐阜県可児市で制作中
by sora_hikari | 2020-09-08 23:56 | 松永圭太展2020