「牧由加里 刳りもの展」ありがとうございました

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牧由加里 刳りもの展 木魂」は本日終了しました。猛暑の中、またコロナ感染の第二波が続く中、ご来店下さいました皆様に心より御礼申し上げます。

今回は牧由加里さんにとって初の個展。グループ展や野外展の経験はありますから、ゼロからのスタートではありませんが、やはりおひとりだけで臨む展示会には相当の思いがあったと思います。一点一点を手で刳って作るには時間がかかり、総数152点を揃えるために、生活のためのアルバイトを辞めて取り組んでくれました。

作品の路線は暮らし向きの盆や食器から離れ、「造形」「質感」を通してご自身の思いを表現してくれました。全体を通して無垢の木による「刳りもの」の形に拘っており、木の塊から削り出された存在感がテーマであったように思います。

今は人気のある消費傾向をネットを通じて読みやすい時代ですが、敢えてその流れを避けるのは、ある意味で不器用な選択をしていると言えるでしょう。何より師匠から受け継いで従来発表していたお盆を封印した事に、今回彼女の覚悟を感じました。

学んだ事をそのまま引用するのではなく、また世間の需要に合わせて器用に振舞うよりも、まずは自分自身の作るものを見据えること。とても芯のあることです。そこからスタートするのは、すぐに広がりづらいかもしれませんが、長い目で見て作家としての信頼を築くために大切なことかもしれません。

今回このような時期にも関わらず、多くの方がご来店下さり、たくさんの評価を頂くことが出来ました。まだまだ小さな点ですが、この確かな点と点が繋がっていくことで一本の線になり、やがて大きな面になっていくことを願っています。

皆様のお手元に渡った作品によって、厄災の続く今、少しでも心が安らぐことを祈っております。この度はありがとうございました。これからの牧由加里さんの活動にご注目ください。

by sora_hikari | 2020-08-09 18:19 | 牧由加里展

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