「牧由加里 刳りもの展」7日目-2

牧由加里 刳りもの展 木魂」の7日目-2。

半球。

刳りものは、彫り始めから人為的な作業によって成されます。木工旋盤のような機械に任せない。分かり易く言えば、鑿(のみ)による木彫である。さらにこの作品のようにマチエールのある漆を施すことで仕上げに於いても作者の意図が重ねられる。木という素材そのままに任せない。

斯様に制作過程は恣意的な意識の塊であるが、しかし結果は無作為な造形物のごとく振舞おうとする。この矛盾を繋ぐものは何なのか。ここを紐解くのが牧作品への理解の第一歩である。

自然物を扱いながら、形状も質感表現も抽象の枠にある。しかしそれを見るに、土器のごとく道具然とした姿との共通性、あるいは木の実のような自然物の受容、それは自己と物体との契約によって抽象化され成立している。

割り切れる公理や公準に基づくユークリッド幾何学よりも、非ユークリッド幾何学であるトポロジー(位相幾何学)のごとく空間、次元、変換といった幅広い概念、連続性と共通する。

という解釈しています。

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牧由加里 刳りもの展 木魂(こだま)
2020年8月1日(土)~9日(日) 会期中無休
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
プロフィール
1981年 岡山県岡山市生まれ
2002年 甲南女子大学卒業
2002年 建築関係の仕事に従事
2013年 仕事をしながら休日に木工を始める
2014年 岡山県北部高等技術訓練校木工科に入校
2015年 木工家森口信一氏(京都)に師事
2017年 独立
2020年 現在、岡山県岡山市にて製作

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by sora_hikari | 2020-08-07 11:22 | 牧由加里展

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