2020年 07月 11日
「若杉聖子展 PORCELIAN LOTUS」8日目
「若杉聖子展 PORCELIAN LOTUS」の会期は明日7月12日(日曜)は17時で終了させて頂きます。
写真は兵庫県三田市にある若杉さんの工房の様子です。元は陶芸家で聖書シリーズで知られる故荒木高子さんがお使いになっていた工房を利用しています。
工房には、作品制作の主となる石膏型やその原型がたくさん並んでいます。元々三田市は江戸後期の京焼の陶工である欽古堂亀祐が、この地で「型もの」の器を定着させた由緒ある地でもあります。「型」はろくろでは作り出せない複雑な形や文様を同形・同寸で生産することが出来る優れた技術でした。三田市に直接的な所縁のなかった若杉さんが、この地で「型もの」の仕事をしていることに不思議な因縁を感じます。
若杉さんの作る作品は「型もの」ですが、大量に同一のものを生産することを目的にするのではなく、あくまで造形的な自由さと作品性を求めての結果です。無垢の石膏からひとつひとつフリーハンドで原型を作り出す作業は、まさに彫刻作品を作るのと同じです。その原型を基にして石膏型を作り、その型に泥状の粘土を鋳込む方法で作品は作られます。鋳込んだのちに乾燥のタイミングを待って作品を取り出しますが、実はその後処理の作業が大変です。型では作り切れない口の部分の加工やバリ取り、さらに磨きの作業は素焼きから本焼き後まで、とにかく粉だらけの地道な作業になります。
これだけ作品の需要が市場から高まっているにも関わらず、特にスタッフは置かず、終始ひとりで作業を完結します。今は京都市立芸大で准教授を務める立場ながら、いち作家としてのスタンスを崩しません。結果的に作品数を賄うためには、自ずと寝ずの作業を費やすしかない状況です。美しい作品の背景には、地道で過酷な積み重ねがあるのです。
こうして生まれた作品は、若杉さんならではの世界観です。女性的なエレガントさを備えながら、凛として背筋の伸びる強さがあります。この作品を支えるのは、人と群れず孤高の人ゆえの意志の強さがあってこそと思うのです。








写真は兵庫県三田市にある若杉さんの工房の様子です。元は陶芸家で聖書シリーズで知られる故荒木高子さんがお使いになっていた工房を利用しています。
工房には、作品制作の主となる石膏型やその原型がたくさん並んでいます。元々三田市は江戸後期の京焼の陶工である欽古堂亀祐が、この地で「型もの」の器を定着させた由緒ある地でもあります。「型」はろくろでは作り出せない複雑な形や文様を同形・同寸で生産することが出来る優れた技術でした。三田市に直接的な所縁のなかった若杉さんが、この地で「型もの」の仕事をしていることに不思議な因縁を感じます。
若杉さんの作る作品は「型もの」ですが、大量に同一のものを生産することを目的にするのではなく、あくまで造形的な自由さと作品性を求めての結果です。無垢の石膏からひとつひとつフリーハンドで原型を作り出す作業は、まさに彫刻作品を作るのと同じです。その原型を基にして石膏型を作り、その型に泥状の粘土を鋳込む方法で作品は作られます。鋳込んだのちに乾燥のタイミングを待って作品を取り出しますが、実はその後処理の作業が大変です。型では作り切れない口の部分の加工やバリ取り、さらに磨きの作業は素焼きから本焼き後まで、とにかく粉だらけの地道な作業になります。
これだけ作品の需要が市場から高まっているにも関わらず、特にスタッフは置かず、終始ひとりで作業を完結します。今は京都市立芸大で准教授を務める立場ながら、いち作家としてのスタンスを崩しません。結果的に作品数を賄うためには、自ずと寝ずの作業を費やすしかない状況です。美しい作品の背景には、地道で過酷な積み重ねがあるのです。
こうして生まれた作品は、若杉さんならではの世界観です。女性的なエレガントさを備えながら、凛として背筋の伸びる強さがあります。この作品を支えるのは、人と群れず孤高の人ゆえの意志の強さがあってこそと思うのです。








若杉聖子展 PORCELIAN LOTUS
2020年7月4日(土)~ 12日(日)会期中無休
営業時間 11時~最終日は17時迄
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
プロフィール
1977年 富山県富山市生まれ
2000年 近畿大学文芸学部芸術学科陶芸コース卒業
2003年 多治見市陶磁器意匠研究所修了
2015年リモージュ(仏)にて研修
2019年 京都市立芸術大学准教授着任
2020年 現在、兵庫県三田市にて制作
by sora_hikari | 2020-07-11 18:11 | 若杉聖子展2020