2020年 06月 01日
「藤田佳三展 空山人を見ず」開催のお知らせ
6月6日(土)~14日(日)に開催する「藤田佳三展 空山人を見ず」のご案内です。埼玉県のコロナ禍の緊急事態宣言がようやく解除されたため、今回は実店舗での展示会を粛々と開催します。
空山人を見ず
但だ聞く人語の響くを
返景深林に入り
復た照らす青苔の上
人気のない寂しい山には、人の姿は見えず
ただどこからか人の声が響いてくるだけ
夕日の光が深い林の中に差し込んで
また青苔の上を照らしている
「画中に詩あり詩中に画あり」と評された南画の祖でもある中国唐代の詩人・王維が詠んだ五言絶句の漢詩「鹿柴(ろくさい)」。教科書にも載る著名な詩ですからご存知の方も多いでしょう。この詩の題名にある「鹿」と、南画に通じる藤田さんの絵筆と、詩中の世界観を重ね合わせてみました。森閑とした景色を詠んだこの漢詩は、厄災の続く今、汚れた現代人へ静かな日を見つめ直すようにとの啓示であるようにも思えます。
藤田佳三さんは1963年京都市生まれ。現在、京都府亀岡市で制作されています。風雅な染付や赤絵の食器で定評のある方です。通常、染付や赤絵は磁土をベースとした硬質なものが多いですが、藤田さんの場合、陶土を用いて白化粧を施した上に絵を描くことで、柔らかな印象の器に仕立てるのが特徴です。絵付けにおいては、安南手と呼ばれる滲んだような染付、宋赤絵や呉須赤絵のような古雅ある絵柄など、柔らかで洒脱なタッチが、日常的な食器として親近感を呼び起こすのです。
本来なら京都の器づくりの経験で培われた雅な気品を主題に掲げるのですが、今回はこのような時期ですから、その内に潜む詩情ある静けさに目を向けたいと思いました。久しぶりに皆様にご実見頂ける機会となりました。 どうぞご高覧下さい。店主
プロフィール
1963年 京都市生まれ
1982年 京都市銅駝美術工芸高校修了
1986年 京都芸術短期大学陶芸専攻科修了
1987年 小川文斎氏に師事
1988年 走泥社・林秀行氏に薫陶を受ける
1990年 兵庫県丹波立杭にて修行
1993年 京都府亀岡市にて独立開窯
2020年 現在、同地にて制作
藤田佳三展 空山人を見ず
2020年6月6日(土)~14日(日)会期中無休
営業時間 11時~18時
作家在廊日 6月6日(土)
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
by sora_hikari | 2020-06-01 17:36 | 藤田佳三展2020