「太田修嗣展 漆の聲 木の息吹」ありがとうございました。

太田修嗣展 漆の聲 木の息吹」は本日無事終了しました。オンラインのみの紹介にも関わらずたくさんの方からご支持頂き誠にありがとうございました。

太田さんのお住まい兼、工房は、愛媛県の砥部町にあります。砥部焼で有名な地域ですが、旧・広田村という焼き物産地からは離れた森林に囲まれた静かな場所です。

1987年に東京・厚木市で独立、7年を経て、この地に移住したのが1994年。この周辺は林業は盛んなものの、特に漆器の産地ではありません。関東で経験した仕事をもとに、ひとりで今のスタイルを築いていきました。

引っ越した頃は、日本のバブル経済もはじけ、工芸も消費が一気に落ち込む時期だったそうです。奥様と四人のお子様。そのような転換期に、拠り所のない土地で仕事をするには、かなりの信念がなければ続けられなかったと思います。

太田さんとお話をすると、端々に木への強い敬愛を感じます。木そのものが好き。その思いから生れる器なのです。焼き物作家が原土にこだわるのと同じように、木から手掛ける太田さんならではのお仕事です。

表現的な江戸の漆器よりも、朴訥とした室町以前の寺院の漆器の方が好みだと言います。漆器の修行をしていた若かりし頃に住んだ北鎌倉のお寺に良く通ったそうです。古格ある漆器には仏の謙虚な美しさが備わっているものです。きっとその頃の原体験が、太田さんの謙譲の心を支えているのだと思います。

今年71歳。体躯もお気持も矍鑠(かくしゃく)とされており、まだまだやりたい事がたくさんあるとおっしゃいます。ご年齢の割にと言っては失礼ですが、偉ぶることは一切なく、とても謙虚です。太田さんの漆器の抑制的な形と奥底にある芯の強さは、歩んで来られた人生そのままだと思うのです。

今回お買上げ頂きました皆様のお暮しと共に、末永くご愛用頂けますことを心より願っております。

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by sora_hikari | 2020-05-31 18:00 | 太田修嗣展2020

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