2020年 03月 23日
「山本亮平・ゆき展 古典のミニマリズム」3日目
「山本亮平・ゆき展 古典のミニマリズム」の3日目。
染付花文4寸皿。
染付と言っても絵柄は釉下に埋没し、淡く器胎と同化しています。気づくか気づかぬか。それは受け手側に委ねられます。描いた絵を見せることが重要ではなく、消えてしまうことを躊躇わない。しかし結果の曖昧さを許容するのは、作り手の積極的な意思です。感じさせるというのは視覚的表現だけではなく複合的なのです。
陶芸家は、古典の「写し」に対する壁に一度はぶつかるはずです。忠実な再現を試みた後に、それを素直に踏襲するのか。あるいは、その後に異なる表現領域に向かうのか。何故なら、単なる再現は永遠に古典を超えない。そのジレンマに陥るからです。その選択は様々ですが、形状・技法を、敢えて古典と差異のある自己表現に振っていく場合が多いのではないでしょうか。
山本さんは有田に在し、凡そ400年前の唐津から伊万里へ磁器生産の始まる移行期にあたる器の再現に取り組みました。その質感に近づくには従来の素材、焼成方法を根本から見直すことから始まりました。しかし古典写しそのものを到達点とせず、その質感を活かしながら如何に自分の解釈をするかを考えています。
この皿は、ひとつの答えでしょう。独特な表現に走るのではなく、説明的な要素を排し、消え入るように内へ内へ掘り下げていく意識です。まるで予め並んだ経糸(形式)に、自分という緯糸(自己意識)を見えぬように織り込むように。
この滲み出てくる感覚を写真でお伝えするのは、なかなか難しいことです。
山本亮平・ゆき展 古典のミニマリズム
2020年3月21日(土)~29日(日) 会期中無休
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
山本亮平
1972年 東京都生まれ
1998年 多摩美術大学油絵科卒業
2000年 佐賀有田窯業大学短期修了
2020年 佐賀県有田町にて制作
山本ゆき
1978年 長崎県生まれ
2000年 佐賀有田窯業大学短期修了
2020年 佐賀県有田町にて制作
by sora_hikari | 2020-03-23 18:47 | 山本亮平・ゆき2020