2020年 02月 02日
「石黒剛一郎・日高伸治・高木剛 三人展」終了

「石黒剛一郎・日高伸治・高木剛 三人展」は本日終了しました。会期中ご来店下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。
今展は普段は日常向けのうつわを中心に作っている三人にお願いして、その原点にある古典を再現してもらいました。石黒さんは保守本流の中国青磁と白磁を、日高さんはベトナム李朝期の白磁を、高木さんは李朝初期の粉青沙器に取り組んで頂きました。具体的なアイテムは、それぞれ独自に選択されています。結果的に三人のバランスがとれた品格のある展覧会になったと思います。
平成時代に広まった暮らし向きのうつわは、従来の「陶芸家」が求めた縦軸(歴史や技巧)から解放され、生活という横軸(暮らし方、衣服、料理、音楽など)の中でその時代の価値を映してきました。今はSNSを通じて、その傾向がさらに強まる中、あらためてその原点となる古典を、生活食器を作っているお三方に敢えてチャレンジして頂くというのが今展の企画でした。
その意図は、拡散していく「うつわ」の流れに伴い歴史性が曖昧になる中、あらためてその骨格を再確認すると共に、鑑賞工芸と生活工芸に分離した流通と顧客の意識を接続したいという思いがありました。市場の流行と売れ行きばかりが尺度になる「うつわ」の広がりは、多くの人に目を向けさせる利点はあるものの、一過性の興味に留まり、やがて消費されてしまうのではないかという危惧があるからです。
これは販売するお店側も製作する作家側もあらためて「うつわ≒工芸」の両極を認識して、ある一定の秩序と評価軸を現代的な視点で見つめることも必要ではないかという提言でもあります。もちろん生活食器側から見れば敷居が高く、また鑑賞工芸側から見ればその基準に満たないのかもしれません。空に向かって剣を振り回すような徒労感はありますが、いずれこの芽がいろいろな方に連鎖して意図を理解して頂けることを願っています。
このような企画に真剣に取り組んで下さった三人の感謝すると共に、ご来店そしてお買上下さいました皆様に重ねて御礼申し上げます。お持ち帰り頂きました作品が皆様のお暮しを豊かにすることを心よりお祈りしております。写真は左側・高木剛さん、真ん中・石黒剛一郎さん、右側・日高伸治さんです。これからもどうぞ三人の活動にご注目ください。
これからの営業案内
うつわノート(埼玉県川越市小仙波町1-7-6)
2/3(月)~2/21(金) 冬季休業
2/14(金)・15(土)・16(日) 工芸祭
2/22(土)~3/1(日) 安永正臣展
営業カレンダー
by sora_hikari | 2020-02-02 17:49 | 石黒剛一郎・日高伸治・高木剛展