「西川聡展 もうひとつの工芸」開催のお知らせ

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11月9日(土)から17日(日)に開催する「西川聡展 もうひとつの工芸」のご案内です。

神奈川県の湯河原町の西川聡さん。弊店で初の個展です。西川さんは彩土や陶胎漆による赤色や黒色の大地を感じるプリミティブな器を作ることで知られていますが、その背景には若い頃に旅をしたアフリカ・中東・インド等の影響があると言われます。お聞きすると、それは直接的な形状や技法の引用というよりも、旅の端々で目にした景色・暮らし・生活の工夫など、土地ごとの根底にある生きるたくましさに通じているそうです。

さらに興味深ったのは、作家として独立してから暫くは、依頼される仕事は何でもやったというお話でした。結婚式の引き出物、スーパーレジ横での展示、声を掛けられれば断ることなく細々とした事でも対応していったそうです。その過程で少しづつ自分のやりたいものを織り交ぜてテーマを課していったことが今に繋がっているという事でした。

西川さんが美大を卒業した頃は今のように陶芸家として誰もが生活できる時代ではなく、特に産地や伝統の背景のない若い作家はクラフト系のデザインの道を歩むか、前衛的なアート作品を目指し公募展で賞歴を重ねるといった選択が主でした。西川さんの作ってきた器には、そういう時代を経て自らの工夫で培ってきたスタイルがあります。従来の近代工芸の伝統技法や茶道具を至上とするのではなく、クラフトから異形発展した独自スタイルの確立でした。今までの時代と隔絶し、オブジェも花器も急須も食器も境目なく作る。今でこそ当たり前のようなことですが、西川さんをはじめ、90年代の周辺には生活工芸とはまた違った「もうひとつの工芸スタイル」の動向があり、それが今のうつわ時代と繋がっていることは再確認しておくべきでしょう。

今は大学で教育者の立場に身を置きながら作家活動を続けていますが、既に市場が確立した中でデビューを待つ学生にも西川さんが経験してきた混沌とした時代でこだわり続けてきたもの、打たれ強く生き残ってきたこと、そういう精神性もぜひ若い方々に引き継いで欲しいと思っています。店主

プロフィール
1967年 愛知県生まれ
1990年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶芸卒
1991年より個展中心に活動
1995年 西アフリカに海外研修
1997年 アフリカ 中近東 西欧放浪
1998年 東京・国分寺で活動
2000年 東京・羽村で活動
2004年 神奈川県湯河原町へ工房移転
2013年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科教授着任
2019年 現在、湯河原町で製作

西川聡展 もうひとつの工芸
Nishikawa Satoshi Exhibition
Another Craft
2019年11月9日(土)―17日(日)会期中無休 
営業時間 11時―18時 
作家在廊日 11月10日(日)
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

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by sora_hikari | 2019-11-04 18:06 | 西川聡展

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