「山田洋次展 山田式スリップウェア」開催のご案内

d0087761_1782767.jpg

10月26日(土)から11月3日(日)まで開催する「山田洋次展 山田式スリップウェア」のご案内です。

信楽の山田洋次さん第4回目の個展です。前回以来の焼締めスリップウェアですが、今回はさらに奥行を求めた選りすぐりの器が並びます。地元信楽周辺の原料で製作し、十回に及ぶ薪窯焼成から選んで溜めた分と直前の窯出し分とで構成されます。さて、この焼締めとスリップ模様の組み合わせである山田方式は果たしてスリップウェアであるのか、ないのか?

そもそも18世紀イギリスのスリップウェアはパイを焼くオーブン皿であり、当時の生活様式と密着した民具だった訳ですが、百年を経て日本の民藝運動創始者によって美的価値を見出され、その技法が解き明かされ、日本の民藝作家や産地と結びつき、今現代も多くの窯元や作家が取り組んでいます。しかしそれは日本の生活から生まれた様式ではなく、あくまで民藝の美学による再現が起点にあって、本来の英国民窯とは分断された倣作であることを踏まえておかなければなりません。

もちろん山田さんのスリップウェアも、その範囲にある日本型アレンジ食器なのですが、唐突に表層的なスタイルを踏襲したのではなく、20代にイギリスに渡って修行を積み、独立当初はカジュアルなスリップから始まり、やがて古典に取り組み、低火度の軟質陶で鉛釉を使った本格的なスリップウェアの再現に取り組んできた経緯があります。そして前回からスリップ模様を焼締めで仕上げる独自のスタイルを築きました。この変化は市場との相対的な立ち位置、また日本でスリップウェアを作る意味を考えたうえで今に至るのです。

さて一体どこまでをスリップウェアとするのか。ある見方をすれば、これはもうスリップウェアが形骸化した器であると。しかし一方で様式は時代や個人によって更新され新たに価値づけられるものであるという考え方も出来るでしょう。もしこれがスリップウェアでないと言うなら、日本で作られるものも本来品とは発生起源が違う訳で、その解釈に基づくなら古典に忠実な方法も個性的な方法も同じ土俵で評価すべきだと思うのです。

元来日本文化というのは中国をはじめとする外国の文化が固有の風土や生活様式に合わせて変容してきたものばかりな訳です。例えるなら漢字が仮名文字に変化して日本独自のものになったのと同じように、山田さんのこの焼締めスリップも、中世以来の信楽の焼き物と英国のスリップウェアが合体して新たに創作されたと思えば、何ら不思議なことではありません。単純にその器が美しいか、実用的であるか、気持ちがくすぐられるか、この現状をフラットな目で見て頂きたいと思います。ここに200年を経た日英焼き物同盟「山田式スリップウェア」を高らかに宣言し、皆様の賛同を求めるのであります。店主

プロフィール
1980年 滋賀県東近江市生まれ
2002年 信楽窯業試験場小物ロクロ科修了
2007年 渡英 Lisa Hammond (Maze Hill Pottery) に師事
2008年 帰国後、古谷製陶所勤務
2012年 滋賀県信楽町にて築窯
2019年 現在、同地にて製作


山田洋次展 山田式スリップウェア
2019年10月26日(土)~11月3日(日)会期中無休 
営業時間 11時~18時 
作家在廊日 10月26日
ギャラリーうつわノート 
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

d0087761_178407.jpg


by sora_hikari | 2019-10-21 17:17 | 山田洋次展2019

<< 「山田洋次展 山田式スリップウ... 「服部竜也展」ありがとうございました >>