「芳賀龍一展 焼き物サードウェーブ」ありがとうございました

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芳賀龍一展 焼き物サードウェーブ」は本日終了しました。雨や曇天ばかりの会期でしたが、にも関わらずご来店下さいました皆様に厚く御礼申し上げます。

今回のサブタイトルは「焼き物サードウェーブ」。いわゆるサードウェーブコーヒーに倣った呼称ですが、焼き物に新たな潮流を感じる昨今、これを言葉に選びました。特に「三番目」という数え方が重要な訳ではなく、例えば「焼き物OS10.0」でも「焼き物オルタナティブ」でも良いのですが、敢えて焼き物の新たな流れを意識した言葉でお伝えしたかった点をご理解頂ければと思います。

芳賀さんのような「焼き物」、それは保守本流の茶陶的な「焼き物」とは立ち位置が異なり、かといって生活工芸寄りの「うつわ」とも立脚点が違う点が、新種の動向に思えます。どちらかと言えば、旧来型のストロングスタイルの焼き物でありながら、産地や伝統の枠外にある。そして固定化された素材や方法を根本から捉えようとする。それを新原理主義と仮に呼んでみた訳です。興味深いのは、味わい深い薪窯焼成の「うつわ」、つまり生活寄りの文脈から発する平成時代の流れとも異なる点です(重なる部分はありますが)。今回も敢えて「うつわ」でなく、「焼き物」と表現しているのもミソです。

つい最近まで、このような焼き物を取り上げる受け皿があまり無かったように思います。美術工芸系ギャラリーでもデパート系では浅く見られ、ライフスタイル系ギャラリーでは重く見える。しかしここ数年で受け手側の意識も変化し、芳賀さんのような焼き物を流通させるステージが徐々に増えているように思います。特徴的なのは、生活工芸の主軸が女性型マーケット=つまり「使うこと」を主にした評価基準であったのが、新種の焼き物は男性型マーケット=造形志向、理念などが先立つことです(強いて比較するなら)。

これは旧来型の「焼き物」文化に回帰しているように思えますが、そこに取り巻く人達の違いがあるように思います。まず作家は全般的に若く産地に依存していない。伝える側の眼は伝統的「焼き物」感だけに留まらない。さらに受け手側(顧客)が従来の焼き物ファンより若く、メディアや美術に近い側にいる人が多い。作り手と受け手が呼応しながら変化する市場が形成されつつある。まだアーリーアダプターの段階であり、そのパイは小さいけれど、焼き物を「うつわ」としてのみ受け取るのではなく、それを所有することで共有されるのは創造性であって、自分自身にフィードバックする意識の高揚を求める層が生まれつつあるように思います。

あくまで、ある側面から見た括りであり、仮説も含まれる訳ですが、しかしこのような未定義な段階で自己解釈出来る余地がある頃が一番面白いと思います。これがいずれマジョリティになり、誰もが空々しく語られ始まると、一気に気持ちがトーンダウンしてしまうかもしれません。いずれにしても、芳賀さんをはじめ、この流れがどのような幹になるのか暫く見てみたいと思います。

今回多くの方が、今の芳賀さんの「焼き物」をそれぞれの視点で受け入れて下さいました。この実体のある評価こそが、作り手の次の自信に繋がり飛躍できると思います。皆様のご家庭で良い「うつわ」として、気持ちを高ぶらせる「物体」として末永く在りますことを心より祈っております。

この度はありがとうございました。


これからの営業案内

うつわノート(埼玉県川越市小仙波町1-7-6)
7/15(月)~7/19(金) 搬出・設営休
7/20(土)~7/28(日) 目片千恵展
7/29(月)~8/02(日) 搬出・設営休
8/03(土)~8/11(日) 熊谷幸治展

営業カレンダー

by sora_hikari | 2019-07-14 19:06 | 芳賀龍一展

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