「芳賀龍一展 焼き物サードウェーブ」7日目-2

芳賀龍一展 焼き物サードウェーブ」の7日目が終了しました。会期は残すところあと2日。最終日の7月14日は17時で終了させて頂きます。写真で紹介していない作品もまだ多くございます、どうぞこの週末にご実見ください。

器の形状をしているものの、原料を焼くことで得られる「現象」に目を向けた作品です。通常は釉薬の原料で使う長石を、胎土として用いています。ガラスの塊のようであり、鍾乳石の見せる滑らかさも感じます。

芳賀さんは北関東中心の原料を、山や河原で自ら探して使っています。それは、あらかじめ焼成温度の判明した市販の材料とは違い、その都度、材料ごとの温度帯をテストする必要があります。その過程で生まれる原料の変化は、定型的な器とは異なる素材そのものの美しさを呈することもあるでしょう。苦労して見つけた原料(土や石)が焼いてどう変化するかは一番の関心事であるはずです。

今の陶芸は安定した材料を入手することは簡単ですし、粘土も釉薬も電話一本で取り寄せることができます。窯業として材料を安定化させるための分析は大いに産業を発展させましたが、その根本にある材料の自然性と乖離した陶芸が一般化していることも事実です。

本来、焼き物作家が、悠久の時を経た鉱物を焼いて生まれる「現象」に目を向けることは、何ら不思議はありません。焼き物は人類にとって始めて化学変化した道具であると同時に、神秘的な体験をもたらす神聖な存在であったことでしょう。焼き物を原料側から捉えたこれらの芳賀さんの作品は、鉱物を焼くことでもたらされる源流であると思えば、器と同一線上の美意識に繋がるのです。

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芳賀龍一展 焼き物サードウェーブ
Ryuichi Haga Third Wave of Yakimono
2019年7月6日(土)~14日(日)会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート 
埼玉県川越市小仙波町1-7-6

芳賀龍一プロフィール
1984年 福島県会津若松市生まれ
2010年 武蔵野美術大学大学院彫刻コース卒業
2013年 栃木県芳賀郡益子町に築窯
2019年 現在、益子町にて製作

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by sora_hikari | 2019-07-12 18:14 | 芳賀龍一展

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