「梶原靖元・谷穹二人展 古典再考」8日目-2

梶原靖元・谷穹二人展 古典再考」は明日6月30日までとなります。最終日は17時で終了させて頂きます。

こちらは滋賀県信楽町の谷穹さんの工房の様子です。ご実家は清右衛門陶房。江戸末期から続くご家系で、谷さんのお父様である谷清右衞門氏は五代目にあたります。現在の穴窯は昭和45年、先代と当代により築窯されました。当代の谷清右衛門(一苔)氏は「古信楽」を収集し古陶資料館を開設し、古陶の魅力を現代に伝えています。

このような恵まれた環境で育った谷穹さんですが、大学では立体造形を学び、卒業後2000年から彫刻家・中ハシ克シゲ氏のアシスタントとして国内外の展覧会に同行、2001年には北村器山氏の次男・北村寿三氏にろくろ指導、長男・北村器山(二代)氏に穴窯指導を受けました。2003年よりご実家である清右衛門陶房に勤務し、下地を築きます。

さて谷穹さんご自身のお仕事について。ある面から見ればご家系に恵まれたサラブレットであると。しかしその価値に依存せず、古信楽の原点から見つめ直す探求者である。これは分かり易い解釈。

一方で、歴代の築いた価値に依存することが出来ない市場環境に変化した。ならば、あらためてゼロから原点を組み立て直すしかない。つまり死活問題であると。これは自覚していなくとも、信楽以外の価値基準を見てしまった谷穹さんの洞察なのではないかと思う訳です。

谷さんは2007年に信楽の古い窯に倣って、双胴式穴窯を作り、それで古典的信楽が焼けると信じたのです。しかし、狙った焼き肌がいつまでも焼けない。結果が出ない。その挫折から、あらためて古典への向き合い方が変わったのです。

このような経験に基づくことで、その価値フォーマットを疑わざる得ない必然的な状況に置かれた。だからこそ、あらたな古典が再生される、ここが谷穹さんの魅力だと思っています。偉そうじゃなく、しかしマーケットに媚びることもなく、あらためて原点の確かさを求める信楽の在り方に彼の「革新」を見るのです。

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梶原靖元・谷穹二人展 古典再考
2019年6月22日(土)-30日(日) 会期中無休 
最終日は11時から17時まで
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

梶原靖元プロフィール
1962年 佐賀県伊万里市生まれ
1980年 唐津焼太閤三ノ丸窯に弟子入り
1986年 京都 平安陶苑にてクラフトを習う
1989年 大丸北峰氏に師事して煎茶道具を習う
1997年 佐賀県唐津市相知町に穴窯築窯
2019年 現在、唐津市相知町佐里にて作陶

谷穹プロフィール
1977年 滋賀県信楽町生まれ
2000年 成安造形大学立体造形クラス卒業
2003年 清右衛門陶房にて修行
2007年 双胴式穴窯を築窯
2012年 単室式穴窯を築窯
2019年 現在、信楽町にて作陶

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by sora_hikari | 2019-06-29 23:11 | 梶原靖元・谷穹 展

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