2019年 05月 29日
「山田隆太郎展 令和の薪窯」5日目
「山田隆太郎展 令和の薪窯」の5日目。
山田隆太郎さんの皿や鉢。いわゆる土もので温かみのある風合いです。日常的な料理を気取らず楽しめる自然体な受け皿です。
器は料理の着物であると言ったのは彼の魯山人。それを装う大切なものであり、料理は器があってこそ成立するという意。器で料理の味も変わる、とも良く言われることです。しかし果たしてそうでしょうか。わずかな金額で機能性食器が買える今、その何十倍もする作家ものの器に意味があるのか?理系的脳で考えれば、物理的には変わるはずはない。となれば、それは心理的作用であると。
社会的知覚を探るニュールック心理学。1947年のジェローム・ブルーナーとセシル・グッドマンによる共同研究。貧困層と富裕層の子供にコイン(1セントから1ドルまでの6種類)のサイズを示させたところ、貧困層の子供の方が同じ価値のコインを大きく表すという結果が知られています。その人の主体的条件(興味,欲求,期待,情緒)によって知覚は変化する。つまり物理的に同じものであっても、人によって同じには見えていないのです。
器で料理の味が変わる。それは受け手側の条件によっては確かに起こり得る事実なのです。コンビニのプラスチック食器トレイのお惣菜であっても、気に入った器に盛り直せば、それなりに楽しめる。というのは強引ですが、日常の食事を美味しく楽しむために、器も大切、そしてその人の気持ちが大切なのです。
さて、主題は山田さんの器でした。毎日の普通の料理がいいですね。この自然色と質感は、料理を引き立て美味しく感じるはずです。あなた次第ではありますが。
山田隆太郎展 令和の薪窯
2019年5月25日(土)-6月2日(日)会期中無休
営業時間 11時-18時
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6
山田隆太郎プロフィール
1984年 埼玉県生まれ
2007年 多摩美術大学環境デザイン学科修了
2007年 造形家 樋口健彦氏に師事
2010年 多治見市陶磁器意匠研究所修了
2010年 多治見市にて独立
2014年 神奈川県相模原市(旧・藤野町)に移転
2019年 現在 同地にて作陶
by sora_hikari | 2019-05-29 21:04 | 山田隆太郎展2019