2019年 04月 23日
「小野哲平展 衝動と暴力性」4日目
「小野哲平展 衝動と暴力性」の4日目。
哲平さんの若い頃(常滑時代1980年代)のうつわを見ると、動的な身体性を強く感じます。ろくろの動き、激しいワイヤーブラシ、大胆な鉄化粧。それはうつわの殻から飛び出て、衝動的な痕跡がそのまま表出しています。2000年代(高知時代)のうつわにも同様の力は垣間見えますが、全般的には抑制的で衝動がうつわの形に内包されるように変化しているように見えます。それは静けさの中に意識を埋め込むことで、むしろ芯の強さを内面に感じさせる精神的な達成でもあったのではないでしょうか。また当時の時代を俯瞰して見れば、うつわとしてあるべき抑制的な美しさが求められる風潮もあったように思います。今展のように、あらためて衝動をむき出しにする造形に臨むことは、つまり自分自身の内面を再確認する行為でもあるのでしょう。敢えてうつわという形状をとらず、身体的な衝動をさらけ出す。それは確立した自己イメージを否定し、批評や批判も引き起こす可能性もある訳で、とても勇気のいることだと思うのです。
小野哲平展 衝動と暴力性
2019年4月20日(土)-28日(日) 11時~18時
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
小野哲平プロフィール
1958年 愛媛県松山市に生まれる
1978年 岡山県備前にて修業
1980年 沖縄県知花にて修業
1982年 常滑にて鯉江良二氏に弟子入り
1985年 愛知県常滑市にて独立
1998年 高知県谷相に移住
2019年 現在、同地にて作陶
by sora_hikari | 2019-04-23 17:33 | 小野哲平展2019