2019年 01月 29日
「川口武亮展 さらばインスタ」4日目
「川口武亮展 さらばインスタ」の4日目。
灰釉三島7.5寸鉢。
定評のある川口さんの三島手の鉢。くぐもった灰釉に霞む白花文と緑灰の焼き色に深みを感じます。安定して焼ける土を選ばずに、唐津の原土を使うことで変数の増した土味が生まれました。
しかし何故、川口さんが土ものなのか?というのも、ご祖父様もお父様も有田の焼ものを稼業にしてきたご家系です。川口さんご本人も地元の有田窯業大学校で学ばれており、通常なら有田を代表する染付磁器に取り組むのが順当な道であったはずです。
当時、有田のような焼きもの産地の流れとは異なる生活の器を作る作家の活躍が顕著になり始めていました。その流れを代表する伊豆の花岡隆さんは、生活向きの粉引を世に広めた第一人者でした。それは李朝をベースにする粉引でありながら、古典回帰とは違う、現代的な食器の魅力を提示していました。
川口さんは、そんな花岡さんの器の在り方に感動し、自ら弟子入りを志願、一旦は断れるものの、無事3年間の修行を積みました。その経験をもとに、2005年に有田に戻り独立、当時のクラフトフェアの広がりの中でご自身の器を確立していきました。
川口さんは人生を選択する転換点で、敢えて逆の道を選んできたのが、今の自分を形成していると言えます。安定を求めることよりも、まだ見えぬ方向にご自身の勘を信じて進んできた。そして今また、次の方向を探り始めている。それは川口さんらしい必然なのだとに思います。
川口武亮展 さらばインスタ
2019年1月26日(土)~2月3日(日)会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市小仙波町1-7-6) 地図
川口武亮プロフィール
1974年 佐賀県有田生まれ
2000年有田窯業大学校卒業
2001年番浦史郎氏に師事
2002年花岡隆氏に師事
2005年有田にて独立
by sora_hikari | 2019-01-29 19:16 | 川口武亮展