2019年 01月 20日
「田中陽子・永草陽平二人展 Glazed Ware」ありがとうございました
「田中陽子・永草陽平二人展 Glazed Ware」は本日終了しました。ご来店頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。
お二人とも既に発表の実績はありますが、弊店では新興の作家としてご紹介しました。
情感豊かな田中さんと沈着冷静な永草さん。性格的には対象的ですが、どちらもユニークな技法によって作品を特徴化する点に於いて意匠研の卒業生らしい作り手だと思います。この技法を極めて美術的な工芸界を目指すのか、もしくは生活寄りの領域も視野に入れていくのか、まだ揺れ動く頃だと思います。
作り手側の労力と造形力によって作品は成り立ちますが、ギャラリー側はそれに対してある種の印象操作を行います。特に知名度の少ない作家の場合は、そのイメージづけが少なからず影響を与えます。基本は作品の魅力をストレートに伝える事ですが、さらにその意味をどう捉えるのか、どこに着目するのか、それを言葉とビジュアルで表し、演出的な陳列によってイメージ形成を図ります。そういう作為を通して作家の魅力を引き出し、橋渡しするのはギャラリー側の仕事です。当初は全種類の作品を伝えることよりも、ピンポイントで明解に魅力を表すこと、特徴的な部分を強調することで、フックを懸け易くする。それは編集作業でもあり、翻訳作業でもあるでしょう。
今は陶芸に限らず、カメラ、料理、ファッション等、素人とプロの境界が曖昧な時代です。ネットを介してさらにその線引きはグレーになり、イメージと個人個人の経験尺度に留まる人気が先行します。それは工芸を一般に普及させる民主的で公平な利点もあれば、歴史や技術と分断された一過性の流行として浮き沈みする側面もあるでしょう。
この時代にどう伝えればいのか。結局は表現、技術、あるいは歴史参照によって言語化し、その意味を地道に解いていくしかありません。気を付けなければならないのは、懐古主義に陥らず、今の時代にどう価値を定めるかを見誤らないことです。売買の多寡も大切ですが、そんな頭の固い時代遅れの評価軸も大切だと思っています。
まだ価値が定義づけられない作品を方向づけるのは、危険もありますが、創造的な行為でもあります。もしこの場で発表した事が、今後の作家人生に於いて、わずかでも寄与することが出来たのであれば、それに勝る喜びはありません。作る側と紹介する側が相互に影響し合って、今後もより良いイメージが醸成できるように努めていきたいと思っています。
今回お持ち帰り頂きました皆様に感謝申し上げます。皆様の選択が、今後のお二人の自信に大きく繋がることでしょう。これからもお二人の活動にどうぞご注目ください。この度はありがとうございました。


お二人とも既に発表の実績はありますが、弊店では新興の作家としてご紹介しました。
情感豊かな田中さんと沈着冷静な永草さん。性格的には対象的ですが、どちらもユニークな技法によって作品を特徴化する点に於いて意匠研の卒業生らしい作り手だと思います。この技法を極めて美術的な工芸界を目指すのか、もしくは生活寄りの領域も視野に入れていくのか、まだ揺れ動く頃だと思います。
作り手側の労力と造形力によって作品は成り立ちますが、ギャラリー側はそれに対してある種の印象操作を行います。特に知名度の少ない作家の場合は、そのイメージづけが少なからず影響を与えます。基本は作品の魅力をストレートに伝える事ですが、さらにその意味をどう捉えるのか、どこに着目するのか、それを言葉とビジュアルで表し、演出的な陳列によってイメージ形成を図ります。そういう作為を通して作家の魅力を引き出し、橋渡しするのはギャラリー側の仕事です。当初は全種類の作品を伝えることよりも、ピンポイントで明解に魅力を表すこと、特徴的な部分を強調することで、フックを懸け易くする。それは編集作業でもあり、翻訳作業でもあるでしょう。
今は陶芸に限らず、カメラ、料理、ファッション等、素人とプロの境界が曖昧な時代です。ネットを介してさらにその線引きはグレーになり、イメージと個人個人の経験尺度に留まる人気が先行します。それは工芸を一般に普及させる民主的で公平な利点もあれば、歴史や技術と分断された一過性の流行として浮き沈みする側面もあるでしょう。
この時代にどう伝えればいのか。結局は表現、技術、あるいは歴史参照によって言語化し、その意味を地道に解いていくしかありません。気を付けなければならないのは、懐古主義に陥らず、今の時代にどう価値を定めるかを見誤らないことです。売買の多寡も大切ですが、そんな頭の固い時代遅れの評価軸も大切だと思っています。
まだ価値が定義づけられない作品を方向づけるのは、危険もありますが、創造的な行為でもあります。もしこの場で発表した事が、今後の作家人生に於いて、わずかでも寄与することが出来たのであれば、それに勝る喜びはありません。作る側と紹介する側が相互に影響し合って、今後もより良いイメージが醸成できるように努めていきたいと思っています。
今回お持ち帰り頂きました皆様に感謝申し上げます。皆様の選択が、今後のお二人の自信に大きく繋がることでしょう。これからもお二人の活動にどうぞご注目ください。この度はありがとうございました。


これからの営業案内
うつわノート(埼玉県川越市小仙波町1-7-6)
1/21(月)~1/25(金) 搬出・設営休
1/26(土)~2/3(日) 川口武亮展
2/4(月)~2/22(金) 冬季休業
2/23(土)~3/3(日) 竹花正弘展
by sora_hikari | 2019-01-20 19:06 | 田中陽子・永草陽平展