2018年 12月 22日
「伊藤雅風展 急須愛」8日目
「 伊藤雅風 展 急須愛 」(~12/25迄)の8日目。会期は残すところ3日となりました。
様式的な儀礼に基づく抹茶の世界に対して、煎茶や中国茶は味や香りを楽しむ嗜好品としての愛好家が多いのではないでしょうか。概念化された茶の湯よりも、形而下にある具象的な喫茶スタイルは、日常の中に広く根付いています。
それは道具としての在り方にも影響しています。抹茶碗と急須は、同じお茶を愉しむ道具でありながら、陶芸作品としての意味合いには差があるのではないでしょうか。焼き物の至上価値として抹茶碗に取り組む作家が多いのは、それの歴史的な扱われ方の違い、分かり易く言えば付随する経済価値の差とも言えます。
しかし元来、中国明代から伝わった煎茶道具としての急須は、単なる機能性食器ではなく、当時の知的文化層をそそる思想的象徴でもありました。煎茶道が今でも文人趣味を掲げるのは、その歴史的背景があるからです。
雅風さんの急須を好む方は、お茶の愛好家であると同時に、文化・学問に通じたディレッタントな方が多いのも特徴です。急須は精神を高める道具でもある。そういう一面にも気づいて頂ければと思います。
さて抹茶碗の見所のひとつに高台がありますが、では急須の見所はどこなのか。胴、蓋、持ち手、注ぎ口の4つのパーツで構成された手間のかかる道具ですから、もちろん機能的な技量ではかることも出来ますが、それ以上にその立ち姿に顕れる「佇まい」ではないでしょうか。
佇まい、、、抽象的で煙に巻くような見所ではありますが、全体のバランス、その背景となる造り手や歴史との参照、つまりはその急須の文脈が昇華した形而上に、その美しさを見るのです。
本日ご紹介の写真は、窯変した急須を集めてみました。
様式的な儀礼に基づく抹茶の世界に対して、煎茶や中国茶は味や香りを楽しむ嗜好品としての愛好家が多いのではないでしょうか。概念化された茶の湯よりも、形而下にある具象的な喫茶スタイルは、日常の中に広く根付いています。
それは道具としての在り方にも影響しています。抹茶碗と急須は、同じお茶を愉しむ道具でありながら、陶芸作品としての意味合いには差があるのではないでしょうか。焼き物の至上価値として抹茶碗に取り組む作家が多いのは、それの歴史的な扱われ方の違い、分かり易く言えば付随する経済価値の差とも言えます。
しかし元来、中国明代から伝わった煎茶道具としての急須は、単なる機能性食器ではなく、当時の知的文化層をそそる思想的象徴でもありました。煎茶道が今でも文人趣味を掲げるのは、その歴史的背景があるからです。
雅風さんの急須を好む方は、お茶の愛好家であると同時に、文化・学問に通じたディレッタントな方が多いのも特徴です。急須は精神を高める道具でもある。そういう一面にも気づいて頂ければと思います。
さて抹茶碗の見所のひとつに高台がありますが、では急須の見所はどこなのか。胴、蓋、持ち手、注ぎ口の4つのパーツで構成された手間のかかる道具ですから、もちろん機能的な技量ではかることも出来ますが、それ以上にその立ち姿に顕れる「佇まい」ではないでしょうか。
佇まい、、、抽象的で煙に巻くような見所ではありますが、全体のバランス、その背景となる造り手や歴史との参照、つまりはその急須の文脈が昇華した形而上に、その美しさを見るのです。
本日ご紹介の写真は、窯変した急須を集めてみました。
伊藤雅風展 急須愛
2018年12月15日(土)~25日(火)会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
伊藤雅風プロフィール
1988年 愛知県常滑市に生まれる
2007年 常滑高等学校セラミック科卒業
2009年 村越風月氏に師事
2011年 名古屋造形大学産業工芸コース卒業
2012年 独立
2018年 現在、愛知県常滑市にて制作
by sora_hikari | 2018-12-22 17:55 | 伊藤雅風展2018