「清水志郎 やきもの展」 7日目-3

清水志郎 やきもの展」(~7/29迄)の7日目-3。明日7/28は台風接近の予報となっておりますが、通常通り営業する予定です。ご来店の折にはくれぐれも安全をご確認のうえお越しください。

写真は「塩壺」。粘土に塩を練り込んで野焼きした土器。縄文時代より製塩土器(塩を精製する器)や、塩を窯内に捲いて釉薬にする塩釉の焼き物がありますが、それらとは異なる「塩壺」です。

「塩壺」は焼成された後も、粘土に含まれた塩分が組織を溶かすことで、土が剥落していきます。カッパドキアのごとく何百年、何千年という時を経た遺跡を横目に、「塩壺」は意図的に時を縮めて、土の朽ちる様(さま)を愛でるという「無情観」溢れる器なのです。清水さんのお仕事の中でも特に実験的な焼き物でしょう。今展用に一年を経過した塩壺が届きましたが、既に崩落が進んでおり、並べるのを躊躇う程、お店側も試される挑戦的な器でもあります。そんな壺を勇気をもってご所望される方をお待ちしております。

さて、往々にして「焼き物」の市場は古典に準ずる価値で語られます。伝世され、定型化された焼き物。しかし名品のみを再現の対象にしてしまうと、その本質は見えてきません。例えば井戸茶碗の約束事(枇杷色、ろくろ目、目跡、竹節高台、兜巾、かいらぎ)を作る側が、あまりに意識し過ぎると視野狭窄になり兼ねません。頂を仰ぐためには、裾野の広さがある事を理解しなければいけません。

清水さんの焼き物の捉え方は、カメラのピント合わせにも似ています。一旦フォーカスアウトしてからフォーカスインしていく。土をどう焼けば、どのような表情になるか。まだ焦点の曖昧なところに多くのヒントがあり、美しさが潜んでいる事実。それを見出そうとする眼。幅のある線上から、あらためて焼き物を意味づけようとする行為が興味深いのです。

まあ難しく考えずに、単なる「土オタク」という理解でも宜しいかと思う訳ですが、今後こういう焼き物で老舗百貨店の美術画廊に挑んで欲しいものです。

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清水志郎 やきもの展
2018年 7月21日(土)~29日(日) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

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清水志郎プロフィール
1979年 五条坂に生まれる
2002年 京都精華大学陶芸コースを卒業する
2002年 祖父・清水卯一の下で制作する
2005年 父・清水保孝の下で制作する
2010年 土を掘り始める
2012年 炭窯を自作する
2013年 松ヶ崎に独立する
2014年 掘った土で作ることを基本とする
2017年 松ヶ崎の庭に小型穴窯を築窯する
2018年 蓬莱登窯を22年ぶりに火を入れる


by sora_hikari | 2018-07-27 17:50 | 清水志郎

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