2018年 05月 29日
「藤田佳三 展 海のシルクロード」 4日目
「藤田佳三 展 海のシルクロード」(~6/3迄)の4日目。
藤田さんの染付の仕事。こちらも定番です。釉上彩(上絵付)の赤絵に対して、釉下彩(下絵付)である染付は透明な釉薬の一層下に描かれています。通常、染付は明瞭な絵柄を技巧的な上手としますが、藤田さんの染付は透明釉と融け合った不鮮明な「滲み」が特徴的です。
その昔、中国からベトナムに伝わった染付(青花)の技術は、その未熟さや材料の差(灰の質)ゆえに滲みのある絵柄も多く、日本に渡来したそれを敢えて「安南手=ベトナムもの」として茶人は好みました。「安南手」または「安南絞り手」とも呼ばれ、泣き流れた模様に風情を見立てたのです。緻密や鮮明といった技巧を極める方向ではなく、緩い方に美を見出すのは茶の湯の高度な感性です。
さて藤田さんの安南染付。これも呉須の滲みと粉引の余白にどう情緒を汲みとるかが肝心です。下地が磁器ではなく陶器であるという点も大きな要素です。柔和な質感に、フォーカスのぼけた花鳥柄。白に霞む藍の境界。置かれる景色、盛られる料理との調和が、この作行きの魅力でしょう。
藤田さんにお聞きしたところ、絵柄はどうせ滲むのだから適当に描けばいいかというとそうではなく、しっかり描いた結果、着物の絞りのように滲んだ曖昧な美しさが出るのだそうです。




















藤田さんの染付の仕事。こちらも定番です。釉上彩(上絵付)の赤絵に対して、釉下彩(下絵付)である染付は透明な釉薬の一層下に描かれています。通常、染付は明瞭な絵柄を技巧的な上手としますが、藤田さんの染付は透明釉と融け合った不鮮明な「滲み」が特徴的です。
その昔、中国からベトナムに伝わった染付(青花)の技術は、その未熟さや材料の差(灰の質)ゆえに滲みのある絵柄も多く、日本に渡来したそれを敢えて「安南手=ベトナムもの」として茶人は好みました。「安南手」または「安南絞り手」とも呼ばれ、泣き流れた模様に風情を見立てたのです。緻密や鮮明といった技巧を極める方向ではなく、緩い方に美を見出すのは茶の湯の高度な感性です。
さて藤田さんの安南染付。これも呉須の滲みと粉引の余白にどう情緒を汲みとるかが肝心です。下地が磁器ではなく陶器であるという点も大きな要素です。柔和な質感に、フォーカスのぼけた花鳥柄。白に霞む藍の境界。置かれる景色、盛られる料理との調和が、この作行きの魅力でしょう。
藤田さんにお聞きしたところ、絵柄はどうせ滲むのだから適当に描けばいいかというとそうではなく、しっかり描いた結果、着物の絞りのように滲んだ曖昧な美しさが出るのだそうです。




















藤田佳三 展 海のシルクロード
2018年5月26日(土)~6月3日(日)会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図
藤田佳三プロフィール
1963年 京都市生まれ
1982年 京都市銅駝美術工芸高校修了
1986年 京都芸術短期大学陶芸専攻科修了
1987年 小川文斎氏に師事
1988年 走泥社・林秀行氏に薫陶を受ける
1990年 兵庫県丹波立杭にて修行
1993年 京都府亀岡市にて独立開窯
2018年 現在、同地にて制作
by sora_hikari | 2018-05-29 17:46 | 藤田佳三展2018