「渡辺林平展 備前より」 8日目

渡辺林平展 備前より」の8日目。会期は明日3/18(日)で終了いたします。

岡山県備前市にある渡辺林平さんの窯場です。備前焼の中心となる伊部地区とは離れた山中(吉永町)にあります。ご覧の通り斜面に掘った全長6メートルの全地下式の穴窯。横から差し木が出来ないので、窯の前後の温度差、土中の湿度に影響を受け易く、扱いは難易ですが、その分原始的な焼成を狙うことが出来るのが利点です。

若い頃にイギリスに留学し、海外で暮らした経験が還って、日本文化に対する意識を高めました。帰国後は染色の仕事に就き、大阪で染物、京都で風呂敷、東京で天然染めの現場を重ねます。その頃に触れた日本美術、根津美術館の井戸茶碗(柴田)に感銘を受けたことが、陶芸へ進む動機となりました。

地元・備前に戻り、備前焼きの養成所である「備前陶芸センター」へ入所、基礎的な技術を学びます。その後、備前の異才・安部安人さんの元を訪ねた際、自分で窯を作って焼いた方が多くを学べると諭され、土窯、そして全地下式の穴窯を作りました。その後も安人さんの窯焚きを手伝ったことが、今の器づくりの基礎となっています。2005年より東京の備前焼ギャラリーで初個展、備前作家としてキャリアを重ねて現在に至ります。

経歴は上記の通り、純粋な備前焼継承者ではなく、いわば外様であった事が渡辺さんを方向付けていると言えるでしょう。それは定石から外れた備前の在り方が示しています。田土でなく山土。全地下式の効率の悪い原始的な窯。ひと窯1500束の薪を要すると言われる長時間の窯焚きへの疑問。定型的備前よりも、古備前への憧憬と実践など。それは自己解釈によって備前の本質に近づきたいという思いの強さの表れでもあるでしょう。

従来積み重ねてきた備前焼きは、壺、酒器、茶器など美術品に近い扱いの器を主としてきており、食器は作ってきませんでした。数年前より手掛け始めた釉薬ものの器は、備前とは違った市場と顧客を意識した新たな取り組みです。自分が手掛けてきた備前焼の価値観と一旦距離を置いて、本来、古備前の置かれていた日常性を器として見つめ直すこと。それをまとめて発表する機会となったのが今回の展示会です。従来の経験と新たな仕事を今後どう接合し、整合性をとるのか。まだ端緒についたばかりのチャレンジは、今後も続くのです。

渡辺林平さんのホームページ
https://www.rimpeiwatanabe.com/

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渡辺林平展 備前より
2018年3月10日(土)~18日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

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渡辺林平プロフィール
1974年 岡山市に生まれる
2001年 備前陶芸センター修了
2002年 備前に全地下式穴窯を築窯
2018年 現在、岡山県備前市にて製作


by sora_hikari | 2018-03-17 18:58 | 渡辺林平

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