「渡辺林平展 備前より」 開催のお知らせ

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3月10日(土)から18日(日)に開催する「渡辺林平展 備前より」 のご案内です。

備前焼は田んぼの底から掘り起こした「田土(ひよせ)」と呼ばれる粘りの強い土を無釉で焼いた赤褐色の焼締めに代表され、日本六古窯に数えられる伝統の産地である。薪窯焼成によって生まれる胡麻・棧切り・緋襷・牡丹餅など定型化された見所のある焼締めとして評価が高く、また人間国宝を五人も輩出する恵まれた地域でもある。それゆえに未だ伝統に倣った保守性も強く、徒弟制度の健在な地域でもあろう。伝統様式を踏襲すれば、それ相応の流通に守られる利点もあるが、一方で約束事の多い因習を創作の束縛とみる向きもある。

さて渡辺林平であるが、いわゆる伝統スタイルを守る備前作家ではない。備前陶芸センターで学び、安倍安人氏に助言を受けた経験が基になっているとは言え、若くしてイギリス遊学、帰国後は染色の職に付いた経歴もあり、頑なに備前の探究を続けてきた訳ではない。むしろ興味深いのはその立ち位置である。在野から俯瞰的に見ることで、備前であることの意味を捉え直そうとしているとでも言えばいいだろうか。

現在、全地下式の穴窯で求めるのは様式化される以前の古備前の姿に近い。焼締めに留まらず粉引、灰釉なども手掛けている。その完成度は途上にあり試行錯誤の日々であるが、備前の持つ風雅ある古格を焼締めに限らず釉薬ものにも求めている。定型的な備前を離れようとも、やはり不可逆的に備前なのだ。敢えて「備前より」とタイトルを据えたのは、その意である。焼締め、釉薬ものが半々、暮らし向きの花器・酒器・食器が並ぶ。ご都合がつけばご覧頂きたい。店主

渡辺林平プロフィール
1974年 岡山市に生まれる
2001年 備前陶芸センター修了
2002年 備前に全地下式穴窯を築窯
2018年 現在、岡山県備前市にて製作


渡辺林平展 備前より
2018年3月10日(土)~18日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
作家在廊日 3月10日(土)11日(日)
ギャラリーうつわノート 埼玉県川越市小仙波町1-7-6 地図

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by sora_hikari | 2018-03-05 18:44 | 渡辺林平

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