「梶原靖元・豊増一雄 二人展 唐津と有田」 ありがとうございました

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梶原靖元・豊増一雄 二人展 唐津と有田」は本日終了しました。ご来店頂きました皆様に厚く御礼申し上げます。

写真は故宮博物館の定窯瓷の図録を見るお二人。右が梶原さん、左が豊増さん。展示会立会日であっても古典の焼き物に熱心な様子が伺えます。

うつわを見始めた当初は、産地を特定しない無国籍なうつわが広まり始めた頃で、伝統的な焼き物には目を向けていませんでした。過去の呪縛から解放された器は伸び伸びと自由で、今の暮らしに調和するリアリティがありました。一方の伝統的な器は、焼き物村化した中で語られる因習や技術論が横行し、特定の流通形態に依存する狭量な世界観であると偏見を持っていました。

しかし時間を経て垣根をはずして近づくと、どちらも一概に決めつける必要はなく、どちらにも良い物はあると思いが変化してきました。例えば音楽のジャンルを限って善し悪しを決めるのに等しいと。好みはあれども、良い音楽はジャンルを超えて良い。そこに限ると見失う出会いがあると気付くように。

今でも窯業産地のパターン化されたスタイルにはあまり関心が持てません。例えばお土産のように記号化された唐津焼、有田焼、備前焼、萩焼、美濃焼、、、やちむんも。それは既存価値の焼き直しでしかないのではないかと。しかし、梶原さんや豊増さんのお仕事を知ると、産地の様式が定型化する以前、なぜそうであったのかという時代や素材の意味からアプローチするお仕事を知ると、目から鱗が落ちるように、その窯業地で様式が生まれた必然的な意味が見えてくるのです。

そのように産地の成り立ちを逆流するように辿り始めると、焼き物の骨格の確かさを再認識するのです。お二人のように原点探しをされている器に出会うことで、あらためて古典の大切さを感じます。

例えば流通のまだ発達しない時代に、土地ごとの特色のある料理が生まれたように。その土地の必然が生み出した滋味深さ。そして時代が進むと共にその味が曖昧になっているように。今、ネットを通じた器の広がりを見ると、流行のように現象化した表層だけが見えてきて幻滅することも多いのです。あらためて焼き物(うつわ)が培ってきた産地の良さ、骨格の大切さんに思いが至るのです。

きっと目をそむけていた焼き物の伝統の奥深さは、唐津や有田だけでは留まらないと気づくのです。今、多くの産地であらためて古典の立ち位置を問い直す作家が増えているように思います。個人的な意見でしかありませんが、この思いが少しでも共有できれば今展の開催の意義があったのではないかと思っているのです。

それに気付かせてくれた梶原さん、豊増さんに御礼を申し上げると共に、それを受け入れて下さった多くのお客様のご厚情に深く感謝申し上げます。


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by sora_hikari | 2017-10-15 21:47 | 梶原靖元・豊増一雄

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