「 森岡成好 茶碗展 」 開催のお知らせ

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9月23日(土)から10月1日(日)に開催する「 森岡成好 茶碗展 」のお知らせです。

「うつわ」の美しさを語るうえで、かつて茶人が創造した美意識は偉大であり、陶芸家にとって今も「茶碗」が特別な存在であることは間違いないのですが、それを正統に受け継ぎ茶の湯の世界と繋がることを願う作り手もいれば、そこに取り巻く権威を忌避し、敢えて距離を保つ作り手も存在します。

和歌山県の高野山の麓で暮らす森岡成好さん。1948年生れの69歳。大御所といっても過言ではないご年齢ですが、尊大な態度は一切なく、日々実直に器づくりに向き合い、多くの人に慕われる大人物です。

森岡さんが焼き物を始めた1970年代頃の陶芸家が目指すべきは、崇高な茶碗が主題でした。当時、食器は「雑器」と呼ばれ、陶芸家にとって「その他」扱いだった時代です。そのような時から一般庶民が使う暮らしの器を作ってきました。代表する器は南蛮焼〆ですが、それは元々南方の名もなき工人が暮らしの器として作り続けてきたもの。これを選ぶことは即ち、陶芸界のヒエラルキーに属さず、人々の暮らしに通じる器を貫ぬく姿勢の表れなのです。

しかし茶の世界と距離を取りながらも、茶碗を作って来なかった訳ではありません。森岡さん自身、昔の茶人が見出した茶碗には大いに感化され、その美しさに近づくために長年取り組んでいます。ただ自作の発表時には敢えて茶碗とは名乗らず、単に「碗」または「わん」と称し、茶碗にも使える暮らしの器であるとしてきました。日常の中にある謙虚な美しさ。それは権威ある茶碗として取り上げられる以前の本来の姿に近いもの。特殊な流通におもねない健やかな「わん」。それが森岡さんの茶碗なのです。

斯様に森岡さんは、特段区別することなく作っている訳ですが、今回敢えて「茶碗」というタイトルで森岡さんの仕事を括る展示会を企画したく思いました。それは歴代に残る「茶碗」に通じる美的価値を有しており、また実用としても申し分のないもの。それを定型化した言葉のもとで、その意味を明らかにしてみたいと思うのです。

焼〆はもちろんのこと、灰釉、粉引、刷毛目、鉄砂の碗が、150点ほど並びます。お値段は一万円から一万八千円の範囲。森岡さんのご実績からすれば、健やかな価格帯であり、大らかな造形の魅力と共に人物そのものを表していると思います。茶碗の他には、厳選した壺、花入、皿、鉢などの器が並びます。

従来より森岡さんの器を支持されている方はもちろんですが、今回は茶の世界に通じた方、茶道具に関心のある方にも触れて頂きたく思っております。どうぞこの貴重な機会にご来店頂ければ幸いです。店主

森岡成好 略歴
1948年 奈良県生まれ
1970年 米国で映画製作技術を学ぶ
1973年 和歌山県天野に築窯
1991年 ネパールヒマラヤに登頂
2017年 現在、和歌山県かつらぎ町にて制作


森岡成好 茶碗展
2017年9月23日(土)~10月1日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
作家在廊日 9月23日(土)・24日(日)
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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by sora_hikari | 2017-09-18 18:09 | 森岡成好2017

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