2017年 09月 12日
「横内みえ 漆展 飾り」 土版
「 横内みえ 漆展 飾り 」(~9/17迄)の4日目。
本日ご紹介するのは土版。今展のテーマである「飾り」を横内さんなりに解釈して製作した手のひらに収まる作品です。粘土をベースに模様を彫り、乾燥後に焼成、その上で漆を施しています。模様は縄文期にも見られるパターンですが、アイヌ造形やポリネシアのネイティブ造形など、世界の民俗装飾に通じるプリミティブな印象を持ち合せています。
土版とは縄文晩期に見られる一種のお守りのようなもの。時代を経て土偶がより抽象化され、楕円や板状になったものが出土していますが、今回はそれをそのまま写すのではなく、横内さんなりに咀嚼した形と模様に昇華しています。
古代より装身具は、耳飾り、首飾り、腕輪、指輪など多く造られていますが、現代のような身を飾ることだけが目的ではなく、魔除けや自分自身の魂が逃げていくのを防ぐ意味があったそうです。横内さんは、これに気付いたときに「心身のお守り」としての漆の形に辿りつきました。これはこの土版に限らず、ご自身の作るオブジェ、食器、装身具など全て共通するテーマであると言います。
この土版を見て、ブローチや帯留めにと考える方もいらっしゃいますが、むしろ用途を限定せずに、単なる造形物であることに意味があるように思います。用途を持たない物体であるからこそ、相対的な意味が高まります。それは、これを所有する人との間で相互に生まれる価値だからです。個々に意味が違って構わない。心のお守りとして繋がっている「モノの力」。そこが横内さんの創作の原点だと思うのです。
奇しくも、従来より手掛けている乾漆造りの作品が「抜け殻」なのだとすれば、この土版はその中身となる「魂」に触れる作品なのではないかと思います。今展でこの両極の作品が並んだことで、今後横内さんの作品づくりにどのような影響を及ぼすのか楽しみでなりません。
本日ご紹介するのは土版。今展のテーマである「飾り」を横内さんなりに解釈して製作した手のひらに収まる作品です。粘土をベースに模様を彫り、乾燥後に焼成、その上で漆を施しています。模様は縄文期にも見られるパターンですが、アイヌ造形やポリネシアのネイティブ造形など、世界の民俗装飾に通じるプリミティブな印象を持ち合せています。
土版とは縄文晩期に見られる一種のお守りのようなもの。時代を経て土偶がより抽象化され、楕円や板状になったものが出土していますが、今回はそれをそのまま写すのではなく、横内さんなりに咀嚼した形と模様に昇華しています。
古代より装身具は、耳飾り、首飾り、腕輪、指輪など多く造られていますが、現代のような身を飾ることだけが目的ではなく、魔除けや自分自身の魂が逃げていくのを防ぐ意味があったそうです。横内さんは、これに気付いたときに「心身のお守り」としての漆の形に辿りつきました。これはこの土版に限らず、ご自身の作るオブジェ、食器、装身具など全て共通するテーマであると言います。
この土版を見て、ブローチや帯留めにと考える方もいらっしゃいますが、むしろ用途を限定せずに、単なる造形物であることに意味があるように思います。用途を持たない物体であるからこそ、相対的な意味が高まります。それは、これを所有する人との間で相互に生まれる価値だからです。個々に意味が違って構わない。心のお守りとして繋がっている「モノの力」。そこが横内さんの創作の原点だと思うのです。
奇しくも、従来より手掛けている乾漆造りの作品が「抜け殻」なのだとすれば、この土版はその中身となる「魂」に触れる作品なのではないかと思います。今展でこの両極の作品が並んだことで、今後横内さんの作品づくりにどのような影響を及ぼすのか楽しみでなりません。
横内みえ 漆展 ~飾り~
2017年9月9日(土)~17日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時
次回在廊日 9月17日(日)午後より
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
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横内みえ プロフィール
1982年 山梨県生まれ
2006年 金沢美術工芸大学美術 工芸学部
2008年 金沢美術工芸大学 大学院 修了
2010年 金沢卯辰山工芸工房 修了
2017年 現在、山梨県南アルプス市 在住
by sora_hikari | 2017-09-12 17:30 | 横内みえ展