2017年 05月 20日
「太田修嗣展 黒澤映画のような」老成モダン
「 太田修嗣 展 黒澤映画のような 」の8日目。会期は明日5/21(日)に終了致します。
へぎの弁当箱、縁高重、そして茶入。
「へぎ」とは、木の繊維を残したまま薄く剥いだものを言いますが、太田さんの「へぎ」は厚い木を割った時に出来る自然な表情をそのまま活かして弁当箱や重箱の蓋に用いています。
こういう仕事は、ややもすると仰々しくなり過ぎることもありますが、太田さんの場合、全体的な形のバランスとディテールの処理がすっきりとまとめられており、控えめな印象を保っています。
このような仕事に限らず、太田さんはご年齢の割に、時代がかった重苦しさから解放され、しかしながら年齢を重ねた熟達の技の均衡が程良くとれているのです。「作品」としての漆器が珍重された時代を経験していながら、節度をわきまえた「道具」としての静謐な構えがこれを成すのでしょう。
表現的な江戸の漆器よりも、朴訥とした室町以前の寺院の漆器の方が好みだと言います。漆器の修行をしていた若かりし頃に住んだ北鎌倉の周辺には、円覚寺、建長寺、長谷寺、東慶寺など落ち着いたお寺に良く通ったそうです。古格ある漆器には仏の謙虚な美しさが備わっているものです。きっとその頃の原体験が、太田さんの謙譲の心を支えているのだと思います。
乾漆へぎ蓋弁当箱
へぎ縁高重箱
洗朱根来茶器
根来茶器
へぎの弁当箱、縁高重、そして茶入。
「へぎ」とは、木の繊維を残したまま薄く剥いだものを言いますが、太田さんの「へぎ」は厚い木を割った時に出来る自然な表情をそのまま活かして弁当箱や重箱の蓋に用いています。
こういう仕事は、ややもすると仰々しくなり過ぎることもありますが、太田さんの場合、全体的な形のバランスとディテールの処理がすっきりとまとめられており、控えめな印象を保っています。
このような仕事に限らず、太田さんはご年齢の割に、時代がかった重苦しさから解放され、しかしながら年齢を重ねた熟達の技の均衡が程良くとれているのです。「作品」としての漆器が珍重された時代を経験していながら、節度をわきまえた「道具」としての静謐な構えがこれを成すのでしょう。
表現的な江戸の漆器よりも、朴訥とした室町以前の寺院の漆器の方が好みだと言います。漆器の修行をしていた若かりし頃に住んだ北鎌倉の周辺には、円覚寺、建長寺、長谷寺、東慶寺など落ち着いたお寺に良く通ったそうです。古格ある漆器には仏の謙虚な美しさが備わっているものです。きっとその頃の原体験が、太田さんの謙譲の心を支えているのだと思います。
太田修嗣 展 ~黒澤映画のような~
2017年5月13日(土)~21日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
画像クリックで拡大
太田修嗣プロフィール
1949年 愛媛県松山市生まれ
1981年 鎌倉・呂修庵にて塗師の仕事を始める
1983年 村井養作氏に師事 蒔絵および変り塗りを学ぶ
1987年 神奈川県厚木市にて独立
ろくろ・指物・刳物 一貫制作による木漆工房を開く
1994年 愛媛県広田村(現・砥部町)に移転
2017年 現在 同地にて制作
by sora_hikari | 2017-05-20 18:10 | 太田修嗣2017