「太田修嗣展 黒澤映画のような」老成の椀

太田修嗣 展 黒澤映画のような 」(~5/21迄)の3日目。

室町時代中期に定まった式正の膳組みは、四椀(飯、汁、平、壺)と一杯(高杯または腰高の皿)からなる。始めは全て漆器であった。斯様に塗り物が公式の食器として使われる歴史は古く、その種類も豊富であるが、基本は椀と膳に代表される。陶磁器の碗に高台がつくのは現代では当たり前だが、その祖形は塗り物の椀にあると言う。木工ろくろを固定する上での製作上の理由、そして手に持ち易い機能性、さらに一段高く持ち上げる象徴性に意味があるだろう。

太田さんの定番の椀2種。高台の高低に違いがある。古格ある形ながら、木の乾燥時の変形を敢えて取り入れた口縁の揺らぎは、太田さんの木に対する自然の受容であり、見る側としても心地良い。根来塗りによる濃淡もまた古色を感じ、艶やか過ぎず抑えめの老成した落とし所である。

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 根来掻合せ椀、銀泥黒椀

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 朱塗根来椀、濃朱根来椀

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 濃朱根来椀


太田修嗣 展 ~黒澤映画のような~
2017年5月13日(土)~21日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

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太田修嗣プロフィール
1949年  愛媛県松山市生まれ
1981年  鎌倉・呂修庵にて塗師の仕事を始める
1983年  村井養作氏に師事 蒔絵および変り塗りを学ぶ
1987年  神奈川県厚木市にて独立
     ろくろ・指物・刳物 一貫制作による木漆工房を開く
1994年  愛媛県広田村(現・砥部町)に移転
2017年 現在 同地にて制作


by sora_hikari | 2017-05-15 18:09 | 太田修嗣2017

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