2017年 05月 08日
「太田修嗣展 黒澤映画のような」開催のお知らせ
5月13日(土)から21日(日)に開催する「 太田修嗣 展 黒澤映画のような 」のお知らせです。
愛媛県砥部町にお住まいの漆器作家・太田修嗣(おおた・しゅうじ)さんは1949年生れ、現在68歳。漆器の伝統産地のように分業制ではなく、木地づくりから上塗りまで一貫してお一人で作っています。太田さんの漆器は木地から取り組んでいることもあり、漆に覆われていながらも、いまだ木の息吹を感じるのです。漆器は一般的に整然とした仕上げのものが多いですが、太田さんは自然な揺らぎやノミ跡を残し、手の感触が伝わってくるのが特徴です。焼き物に例えれば、硬く整った磁器と、柔らかで自然体な陶器の違いに似ているかもしれません。
木の器は焼き物よりもずっと古くから貴族から庶民まで幅広い層で使われてきました。今でこそ漆器は、懐石料理などで使われる高貴な印象がありますが、元々は身近でどこにでもある粗野な姿も含めた道具だったのです。太田さんの漆器は、澄ました姿の器というよりも、もっと野趣に富む力強さや、時に妖艶な姿が魅力的なのです。それもまた漆器の一面。
例えば、黒澤映画の「七人の侍」で農民から武士に手渡される山盛りご飯の椀。「乱」の天守閣に並ぶ朱塗りの什器。「蜘蛛巣城」のクライマックスで使われる妖しげな足付鉢。いずれも演出されたシーンではあるけれど、もっと漆が生死に繋がっている様子が描かれているように思うのです。そういえば、黒澤明監督は根来の器を愛蔵しておられたそうですし、太田さんも若かりし頃、映画のシナリオを勉強したことがきっかけで今の職と繋がったという話をお聞きしました。その点からも「黒澤映画のような」イメージと妙に符合したのでした。
白黒映画なのに何故か色を感じる漆器、時代劇に見る粗野で妖しい漆器の姿。それと重ね合わせて、太田さんの椀、鉢、皿、盆、箸など、漆器のもうひとつの側面を感じて頂ければ幸いです。店主
太田修嗣プロフィール
1949年 愛媛県松山市生まれ
1981年 鎌倉・呂修庵にて塗師の仕事を始める
1983年 村井養作氏に師事 蒔絵および変り塗りを学ぶ
1987年 神奈川県厚木市にて独立
ろくろ・指物・刳物 一貫制作による木漆工房を開く
1994年 愛媛県広田村(現・砥部町)に移転
2017年 現在 同地にて制作
太田修嗣 展 ~黒澤映画のような~
2017年5月13日(土)~21日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時
作家在廊日 5月13日(土)、14日(日)
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
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by sora_hikari | 2017-05-08 10:00 | 太田修嗣2017