「 小野哲平展 塊は魂 」ありがとうございました

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小野哲平展 塊は魂 」は、新緑に陽光が透け、庭が一番美しい季節に最終日を迎えることが出来ました。当初は未知数ながらも、十分なご評価を頂ける内容となりました。厚く御礼申し上げます。

今回お客様に良く聞かれたのが「この展示は、どちら側(小野さんか、弊店か)からの提案であったのか?」でした。答は曖昧になりますが、両者の思いが重なったというのが正直なところです。

従来より小野さんが、「自分の作りたいのは「うつわ」であると同時に「芸術」として人の心を感動させられるものでありたい。時に人の人生を左右する程の意味があると信じている。用具を作ることだけが目的ではない。」というような事を言っておられました。(咀嚼しているので的確でない点もあると思いますが)

ならば「うつわ」という用途を除いて、その真髄にある「造形」だけを取り上げてみたいと思い、半年前の打合せの際に「うつわでないものを見てみたい」とお伝えしたのでした。その場で明解な回答は保留になったものの、気持ちは伝わったから前向きに考えてくださることになりました。元々、そういう考えが頭にあったのかもしれません。

即答にしなかった理由を類推すると、物理的に出来るかどうか分からないという点と、もうひとつは「うつわ作家」である自分が安易に「アート的作品」を作ることへの逡巡もあったのではないかと思います。暮らしの中におけるアート的な作品が多く作られる現状にあって、その流れでありたくないという思いも分かる気がします。「オブジェ」とは呼ばないで欲しい、「塊」という呼称にこだわったのも、アート系作家への転身という誤解を避けたかったのではないかと思います。

しかし結果として中途半端に「うつわ」を混在させることなく、きっぱりと全点を「塊」を作ってくれました。それはまさに哲平さんそのものであり、普段作っている「うつわ」の根っこを表した造形物になりました。多くの方が「哲平さんらしく、強い存在感がある」と理解してくれた展示会であったと思います。それは来場者数、売上結果としても表れています。

一方で課題も残りました。初日に来店された村上隆さんの展評に対する回答が導き出させなかったことです。その指摘を要約するなら、「工芸を離れてアート表現の領域に入るならば、作品単体としてその意味が説明出来なければならない。」ということであったと思います。

今回の「作品」が哲平さんの身体から導き出されたものであることに間違いはないのですが、「うつわ」という工芸の要素を取り外した時に、アート作品としての評価にさらされる。例えそれが個人的達成であろうと、美術の文脈でそれを説明できなければならない。という解釈をしています。西洋の厳しいアートの土俵で戦っている村上さんならではの重い指摘です。確かに「うつわ」分野に於いて、それを個人的情緒性で語ること、またその評価を観賞者に委ねる態度は、往々にしてあることです。作品の意味を伝える責任を負うギャラリーの立場として、あらためて考えていく必要があると思っています。

良い評価もあれば、厳しい指摘もある。予定調和であるものの、このような議論を呼ぶことも意味があったのではないかと思います。確かなことは「魂(たましい)」の産物であったと信じています。今回お選び頂きました「かたまり」が皆様の「たましい」を呼び起こすことを願っております。

ありがとうございました。


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by sora_hikari | 2017-04-30 18:43 | 小野哲平2017

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