2017年 02月 24日
「 遠くの太鼓 」展 相互
「遠くの太鼓」(~2/26迄)の7日目。会期は残り2日となりました。
ヴィクトル・I・ストイキツァ 2006「ピュグマリオン効果―シミュラークルの歴史人類学」の一節より
(以下引用)
かつて(二世紀あまり前のこと)、芸術が美術館へと追いやられたとき、その追放を達成したのは、ひとつの禁止であった、、、「作品に手を触れないでください」。
これはおそらく、唯一正しいものとなった作品との接し方、視覚体験を侵犯するあらゆる試みを防ぐための一方法であり、純粋な静観という手段とは異なる仕方で、<芸術>と<生>を結びつけようとする試みを、ことごとく拒絶するものであった。
(以上引用)
今回、ここに並ぶものはガラスケースの向う側に飾られるために作られたのではなく、いずれも何らかの目的をもってに用いられたものです。崇める、拝む、纏う、被る。一方向ではなく、双方向な役割をもった造形物。物理的にも精神的にもお互いが触れることに意味があったのです。
この相互な関係性こそ、「美」が持つ本来の意味だったのではないかと思うのです。「美しさ」の尺度も、崇拝、畏怖、信仰など、心に届く深度に合わせた概念だったように思います。
「美術」も「工芸」もかつては分離したものではなく同義であったのでしょう。今展のような展示品に直接触れて心を満たす行為は、一方的な観賞とは異なり主体的な意識の覚醒であると思います。「観賞物」も「用具」も線引きすることなく、自分の心と双方向に触れあえた時こそ、「美」が生れるのではないかと思っているのです。
遠くの太鼓
2017年 2月18日(土)~26日(日) 会期中無休
営業時間 11時~18時
※2/26(日)に出展者が在廊します。(岩橋さんは15時以降)
Sezuan Antiques & Art 岩橋直哉
中川伸二 (コレクター)
吉原航平(画家)
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
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by sora_hikari | 2017-02-24 18:23 | 遠くの太鼓