2016年 07月 01日
「 佃 眞吾展 我谷木工・林竜人さんを偲ぶ 」 開催のお知らせ

手前: 幅 165mm 奥行 168mm 高さ 73mm
奥側: 幅 268mm 奥行 168mm 高さ 70mm
7/9(土)から18(月・祝)に開催する「 佃 眞吾展 我谷木工・林竜人さんを偲ぶ 」 のお知らせです。
佃眞吾(つくだ・しんご)さんは京都市で木漆器を制作しています。15年間の職人時代を経て独立し、木工全般の一貫した仕事を行う基礎のしっかりした作家として定評があります。軽やかな木工の器が全盛の時代にあって、佃さんは民藝や骨董の知識をを踏まえながら、あらためて様式的な美を現代の暮らしと繋ぐ作り手です。
佃さんが独立当初から手掛けている代表作に、我谷盆(わがたぼん)があります。それは昭和30年代にダム工事で湖底に沈んだ石川県我谷村で、江戸から明治につくられた栗材を丸ノミで刳り抜いた民衆の器です。人間国宝の黒田辰秋さんもその魅力に早くから注目し「強い地方色と独創的な手法による器形。天衣無縫の作品である。」と述べておられます。その素朴な姿に魅せられる現代の作家も多く、今あらためてその美しさが見直されています。
明治末期に一度立ち消えた我谷盆の復興に尽力した方がいました。黒田辰秋さんもその仕事を認めた林竜人(はやし・たつんど)さんです。林さんは我谷村にも近い大聖寺のご出身。元々彫刻家を志していましたが、我谷盆の美しさに心を打たれ、現地調査や同士を糾合し、復興の原動力となりました。当時、ご自身の号を吾太と名乗るほど我谷木工を自認する作家として活躍しました。その後、我谷盆や鉢のみならず、膳・卓・櫃など力強い作品の数々を制作されました。大変残念なことに林竜人さんは平成3年に58歳という若さでお亡くなりになりましたが、今でも我谷木器を伝承させた作家として多くの方に尊敬され続けています。
「そろそろ時代に残る仕事も考えていきたい」。佃さんの工房にお訪ねした際におっしゃった言葉です。その時に見せて頂いたのが、林竜人さんの古い作品写真でした。どれも堂々とした姿で、今の時代にない力強さに感銘した記憶があります。それは佃さんにとって参考資料であると同時に、木工作家として時代を築いた林さんへの憧れでもあったのではないでしょうか。
本展では、現在金沢市にお住まいの林さんのご子息のご厚意により、作品を15点お預かりすることが出来ました。佃さんの木工のお仕事と併せて、林竜人さんの作品を特別展示(非売)いたします。この貴重な機会にご高覧いただければ幸いです。 店主

幅 282mm 奥行 245mm 高さ 98mm

会期中店内にてご覧頂けます(非売品)

会期中店内にてご覧頂けます(非売品)
佃 眞吾(つくだ・しんご) 経歴
1967年 滋賀県長浜市生まれ
1990年 京都にて家具職人として働く
1992年 職人の傍ら「黒田乾吉木工塾」に通い木漆一貫仕事を学ぶ
1995年 京都 井口木工所にて家具・指物職人として働く
2004年 京都市梅ヶ畑にて独立
2015年 現在、同地にて制作。国画会工芸部会員
林 竜人(はやし・たつんど) 経歴
昭和七年生れ 平成三年没
石川県大聖寺出身
佃 眞吾展 ~我谷木工・林竜人さんを偲ぶ~
2016年7月9日(土)~18日(月) 会期中無休
営業時間 11時~18時
作家在廊日 7月9日(土)
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
我谷煙草盆 佃眞吾 所蔵品 江戸後期~明治期
幅 268mm 奥行 168mm 高さ 82mm
会期中この盆など4点の我谷盆をご覧頂けます。
by sora_hikari | 2016-07-01 19:37 | 佃眞吾展