2016年 04月 22日
「 藤田佳三展 京の雅陶 」 系譜
「 藤田佳三展 ~京の雅陶~ 」 (~4/25迄)の7日目。
ご紹介の品は、香炉と茶道具。飾り細工のついた香炉は見て愉しく、茶道具は彩りが茶席にアクセントをもたらすでしょう。
本日は藤田さんの系譜を少々。
現在の器は絵付け粉引が特徴的ですが、意外にも24歳の初個展は、現代工芸のギャラリーマロニエでのオブジェ展でした。高校時代は民芸のスリップウェアや飴釉を学び、大学時代は加飾のアンシンメトリーな作品を作り、当時は陶彫の辻晉堂の作品に感化されていました。
大学卒業後4年も過ぎた頃に、プロというのは陶芸で食べて行けてこそと思い直し、あらためて割烹食器を作る職人として問屋の伏窯で修行しました。さらに丹波立杭での修行や陶業組合職員を経て、31歳で京都の亀岡市で独立します。
粉引との出会いは、修行時代に大阪池田市にある逸夫美術館で見た李朝の徳利がきっかけでした。それまでは、京都の食器は、ほとんどが総削りでろくろ目を出さずに整えていく仕事でしたが、李朝の自由なろくろを見たときに、ようやく自分の作りたかった器を見つけたのだそうです。自由造形のオブジェ、土味、そして京都割烹食器のスタイル。これらがようやく藤田さんの中で集約されていきました。
独立当初は、粉引をはじめ、刷毛目、三島手、飴釉、鉄絵など朝鮮ものを中心に製作していました。35歳になってようやく赤絵の仕事をはじめ、染付は39歳になってからだそうです。絵付けのきっかけは、実は高邁な思想に基づくのではなく、粉引のB品になるピンホールを絵付けで再生させるという、非常に実利的な動機からスタートしたそうです。経歴のなかでは絵付けは専門的に学んでいませんが、最初は単純な絵柄でも続けて描くことでまとまってきたそうです。
今は赤絵、染付、紅安南、飴釉などを手掛けていますが、それは中国から東南アジアを通じてペルシャまで繋がる南回りのゆったりとした作風です。その異国の民族的な要素を京都という文化と融合させることが、藤田さんの器の真髄にあるのです。考えてみれば、京都ほど伝統的でありながら、革新的な陶芸を受け入れてきた地はありません。文化的にも政治的にも保守と革新の相反する要素が併存する町。
ご自身は、自作を京焼きの範疇には入れませんが、やはり京都らしい背景があるからこそ、作り出された器だと思うのです。

110)赤絵金太郎香炉 幅15cm 奥行12cm 高さ17cm 35,000円+税
絵は柏の葉、煙口の彫りは鯉

呉須赤絵うさぎ飾り香炉 幅14cm 奥行9cm 高さ16cm 35,000円+税

安南手染付フクロウ飾り香炉 幅14cm 奥行9cm 高さ16cm 35,000円+税

紅安南うさぎ飾り香炉 幅14cm 奥行9cm 高さ16cm 35,000円+税

111)紅安南五重塔香炉 径10cm 高さ17cm 25,000円+税

紅安南神獣飾り香炉 幅24cm 奥行10cm 高さ23cm 75,000円+税

紅安南茶碗 径12cm 高さ8cm 85,000円+税

安南手染付茶碗 径12.5cm 高さ7.5cm 75,000円+税

赤絵唐草文茶碗 径12cm 高さ8cm 50,000円+税

安南手染付蜻蛉図茶碗 径12.5cm 高さ8.5cm 75,000円+税

紅安南食籠 径22cm 高さ11cm 55,000円+税

安南手染付水指(塗り蓋) 胴径18cm 高さ17cm 90,000円+税

115)安南手染付香合 径7.5cm 高さ5.5cm 13,000円+税

安南手染付八角四足香合 径8.5cm 高さ5cm 16,000円+税

飴釉獅子飾り陶筥 幅9.5cm 奥行9.5cm 高さ9cm 30,000円+税

109-1)安南手染付振出し 径5cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-2)赤絵瓢振出し 径6cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-3)赤絵振出し 径6.5cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-4)紅安南瓢振出し 径8cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-5)赤絵扁壺振出し 径7.5cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-6)紅安南振出し 径6cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-7)飴釉双耳振出し 径8cm 高さ7.5cm(蓋含まず) 8,500円+税

109-8)呉須赤絵双耳振出し 径6.5cm 高さ9cm(蓋含まず) 8,500円+税
ご紹介の品は、香炉と茶道具。飾り細工のついた香炉は見て愉しく、茶道具は彩りが茶席にアクセントをもたらすでしょう。
本日は藤田さんの系譜を少々。
現在の器は絵付け粉引が特徴的ですが、意外にも24歳の初個展は、現代工芸のギャラリーマロニエでのオブジェ展でした。高校時代は民芸のスリップウェアや飴釉を学び、大学時代は加飾のアンシンメトリーな作品を作り、当時は陶彫の辻晉堂の作品に感化されていました。
大学卒業後4年も過ぎた頃に、プロというのは陶芸で食べて行けてこそと思い直し、あらためて割烹食器を作る職人として問屋の伏窯で修行しました。さらに丹波立杭での修行や陶業組合職員を経て、31歳で京都の亀岡市で独立します。
粉引との出会いは、修行時代に大阪池田市にある逸夫美術館で見た李朝の徳利がきっかけでした。それまでは、京都の食器は、ほとんどが総削りでろくろ目を出さずに整えていく仕事でしたが、李朝の自由なろくろを見たときに、ようやく自分の作りたかった器を見つけたのだそうです。自由造形のオブジェ、土味、そして京都割烹食器のスタイル。これらがようやく藤田さんの中で集約されていきました。
独立当初は、粉引をはじめ、刷毛目、三島手、飴釉、鉄絵など朝鮮ものを中心に製作していました。35歳になってようやく赤絵の仕事をはじめ、染付は39歳になってからだそうです。絵付けのきっかけは、実は高邁な思想に基づくのではなく、粉引のB品になるピンホールを絵付けで再生させるという、非常に実利的な動機からスタートしたそうです。経歴のなかでは絵付けは専門的に学んでいませんが、最初は単純な絵柄でも続けて描くことでまとまってきたそうです。
今は赤絵、染付、紅安南、飴釉などを手掛けていますが、それは中国から東南アジアを通じてペルシャまで繋がる南回りのゆったりとした作風です。その異国の民族的な要素を京都という文化と融合させることが、藤田さんの器の真髄にあるのです。考えてみれば、京都ほど伝統的でありながら、革新的な陶芸を受け入れてきた地はありません。文化的にも政治的にも保守と革新の相反する要素が併存する町。
ご自身は、自作を京焼きの範疇には入れませんが、やはり京都らしい背景があるからこそ、作り出された器だと思うのです。

絵は柏の葉、煙口の彫りは鯉






















藤田佳三展 ~京の雅陶~
2016年 4月16日(土)~25日(月)
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
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藤田佳三プロフィール
1963年 京都市生まれ
1982年 京都市銅駝美術工芸高校修了
1986年 京都芸術短期大学陶芸専攻科修了
1987年 小川文斎氏に師事
1988年 走泥社・林秀行氏に師事
1990年 兵庫県丹波立杭にて修行
1993年 京都府亀岡市にて独立開窯
2016年 現在、同地にて制作
by sora_hikari | 2016-04-22 18:18 | 藤田佳三 展