「 牟田陽日 九谷未来形 」 アートと伝統

「 牟田陽日 九谷未来形 」 アートと伝統_d0087761_3524326.jpg

牟田陽日 ~九谷未来形~ 」の7日目。

牟田陽日さんは、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジを卒業後に、石川県の技術研修所で九谷焼を学びました。現代アートの世界から日本伝統工芸への劇的な転身。一体どう繋がるのでしょうか?

牟田さんが留学したロンドン大学ゴールドスミスカレッジと言えば、ダミアン・ハーストやサラ・ルーカスなどYBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーチスト)を輩出した事でも知られる現代アート界で有名な学校です。牟田さんは東京の美大に一旦入学するも一年で辞し、自らの意思でイギリスの現代アートを教えるゴールドスミスカレッジに留学しました。大学では映像作品、インスタレーション、パフォーマンスなど形なき作品を手掛けていたそうです。樹脂による彫刻を作っていた時期もあるそうですが、大学で焼き物との接点はありません。

焼き物への興味は、学外生活の途中に、ロンドンの蚤の市で見たギリシャやヨーロッパの古い物を見て、展示期間だけのインスタレーションと違い、何百年、何千年も残ることに感銘を受けたことがきっかけになるそうです。卒業後はワーキングビザを取得し、アーチストとして制作もしていたそうですが、ずっと形に残るものを手掛けたいという思いが募り、焼き物の道を再度学ぶことを決意、日本に戻ることになりました。

現代アートを学んだ経歴からすれば、通常オブジェ系の焼き物の道を選びそうに思いますが、アートを学んだがゆえに、むしろ当初はアート系工芸には関心がなかったと言います。それよりもイギリス留学時代に見たビクトリア朝の陶磁器やアーツアンドクラフト運動の色使いと、九谷焼きの共通性を感じて、生活とアートが融合した伝統工芸の焼き物を学べる九谷技術研修所への入所を決めたそうです。

海外にいる日本人が、あらためて日本のアイデンティティーを意識し、伝統から学び直したいと思うのは、牟田さんに限らないことでしょう。

しかし牟田さんの作る九谷は、技術的な伝統を受け継ぎつつも、決して古典をそのまま踏襲した姿ではありません。日本の古典を自分の視点から見つめ直し、海外から見たジャポニスムの要素を新鮮なモチーフであらためて提示してくれます。伝統と現代性。九谷と現代アートの融合。このフュージョンこそが、牟田さんの作る九谷焼なのです。

牟田さんの中では、現代アートと分断することなく今の仕事は繋がっているそうです。いずれ、焼き物という範疇を超えて、さらなる飛躍も有るのではないか と感じさせる九谷焼の未来形なのです。


牟田陽日 ~九谷未来形~
2016年3月5日(土)~14日(月) 会期中無休
営業時間 11時~18時 
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

「 牟田陽日 九谷未来形 」 アートと伝統_d0087761_2243223.jpg「 牟田陽日 九谷未来形 」 アートと伝統_d0087761_2244865.jpg
  画像クリックで拡大

牟田陽日(むたようか)プロフィール
1981年  東京都生まれ
2008年  ロンドン大学ゴールドスミスカレッジファインアート科卒業
2012年  石川県立九谷焼技術研修所卒業
2016年  現在、石川県能美市にて制作


by sora_hikari | 2016-03-11 17:29 | 牟田陽日

<< 「 牟田陽日 九谷未来形 」 ... 「 牟田陽日 九谷未来形 」 ... >>