2016年 02月 03日
「衝撃の美 Alternative Value」 貧者の骨董

「 衝撃の美 オルタナティブバリュー 」(~2/8迄)の5日目。
骨董には年代、希少性、伝世など肩書による序列があります。それに伴った価格がつき売買されることが多いでしょう。今回出品した4人は、そういう正規の骨董価値からもの選びはしていないようです。むしろ自分の眼で見て心が動くことが優先され、結果として時代がついてくるように思います。
室町時代に中国から渡来した青磁や天目茶碗は、当時唐物信仰を巻き起こしました。上手のものは、上流階級しか所有できず、垂涎のものであったでしょう。そのような時代に、侘び茶の祖となる村田珠光が見出した茶碗は、所謂、珠光青磁と呼ばれる不出来な下手の茶碗でした。一級品の官窯青磁や砧青磁に比べ、青磁と言いながらも灰黄色の焼けそこないに閑寂の美を見出したのでした。それは当時の風潮に対する珠光のカウンターであり、眼の改革であったのでしょう。
卑近な例えになりますが、経済的なゆとりがある人が、ベントレーやフェラリーを所有することにステイタスを感じるのに対して、ゆとりはなくとも40年落ちの国産車を乗りこなす方に価値を見出すようなものかもしれません。
骨董においても、経済的な尺度で肩書された範囲だけのもの選びよりも、時として貧しくとも自分の眼で、心から感じ取れるもの選びの方が、創造的な行為に思えます。それはきっと眼の工夫、改革が必要になるからです。価値を再認識させるもの選びは、自身の意識も豊かにしてくれるように思います。
さて貧者の骨董とは、一体どちらを指すのでしょうか。
衝撃の美 ~オルタナティブ・バリュー~
2016年1月30日(土)~2月8日(月) 会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図
出品者
Sezuan Antiques & Art (岩橋直哉/京都府)
hotoke antiques (奥村乃/千葉県)
titcoRet (牛抱幾久真/東京都)
じんた (長谷川迅太/東京都)
画像クリックで拡大
by sora_hikari | 2016-02-03 20:10 | 衝撃の美