2014年 11月 17日
「中野知昭 漆器展」 うるし麗し

「 中野知昭 漆器展 お正月の形 」は、いよいよ明日(11/18)までとなりました。
写真は、中野知昭さんの応量器です。 禅宗の修行僧が使用する食器のこと。入れ子状に重ねられた5枚の容器です。
漆が見せるテクスチャーの美しさに、時折はっとすることがあります。光を受けた柔らかな質感、手にしたときの触感の心地よさ、表層の奥に感じるしっかりとした存在感。漆の語源と言われるように、まさに「麗し」の姿。
漆は本来、木が自らを治癒するために硬化する白血球のようなもの。ウルシオールを主成分にした天然素材で9000年も遡る時代から人の生活に役立ってきました。
元々、森林資源の豊富な日本では、木を食器に加工することは早くから行われていた事でしょう。当初は木地のまま使用する事が多かったはずですが、乾燥による割れや水カビなどを防ぐために、漆を施すことは食器の機能性を向上させるために自然な流れだったのだろうと思います。
ここで不思議に思えるが、本来、そういう補強や防水が目的であれば、今の漆器ほど入念な作業は必要なかったのではないかという事です。では何故、漆をここまで極める方向になったのか。
例えば、より長い時間経過に耐える得る堅牢さを追求した物理的向上。より上流社会に受容される為の経済的理由。そして、神様に捧げる道具として、さらなる存在の絶対性を高めたいという心理的欲求。あくまで想像の域を出ませんが、機能追求だけではない、漆仕上げの美の探究があったように思えてなりません。
いずれにしても漆という素材が、機能を超えて人の心を美の探究に駆り立てるだけの魅力があったのだろうと思います。漆器の美しさ。失ってはならない日本の美であり、手仕事だと思います。
中野知昭 漆器展 お正月の形
2014年11月8日(土)~18日(火) 会期中無休
営業時間 11時~18時
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 (地図)
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by sora_hikari | 2014-11-17 21:38 | 中野知昭 展