2014年 11月 08日
「中野知昭 漆器展」 上塗りの美学
「 中野知昭 漆器展 お正月の形 」(11/18まで)。気温が上がらず肌寒い日にも関わらず、多くの皆様にお越し頂き盛況のうちに初日を迎えることが出来ました。厚く御礼申し上げます。
中野さんの漆器の魅力はいろいろありますが、敢えてひとつ挙げるなら、なんと言っても上塗りの美しさに代表されるでしょう。河和田塗りは、「塗り立て」または「真塗り」と呼ばれる刷毛塗りで最後に仕上げるのが特徴です。磨きを行わずに、塗りだけで綺麗に終わらせるのは、集中した神経と技術が必要になります。別の産地から上塗りだけの注文が河和田にくるのも、その技への信頼があるからです。
中野さんの漆器もその伝統を受け、上塗りに誇りをもっています。仕上げにたっぷり漆を塗る。何故なら、それが綺麗な漆器だと思うから。厚く塗って、かつ綺麗な面を保つことは、簡単なようで難しい技術です。それは使って行く過程で堅牢さにも繋がります。漆器としてそれは当たり前のことのようですが、昨今の下地見せの古色テクスチャー仕上げや、材料費の高騰をによる薄塗りの状況を鑑みれば、中野さんは塗物は、きちんと塗ることが大切という、まさにごまかしの効かない直球勝負の塗りを信条にしています。かといって、つるつるピカピカな塗りでなく、マット調の抑えめの質感でとても落ち着いた雰囲気です。
地道なことですが、伝統を引き継いだ普通のことを、手抜きなく行う。正攻法の塗物。それが中野知昭さんの漆器の根幹なのです。
中野知昭 漆器展 お正月の形
2014年11月8日(土)~18日(火) 会期中無休
営業時間 11時~18時
作家在廊日 11月8日(土)、9日(日)
ギャラリーうつわノート
埼玉県川越市小仙波町1-7-6 (地図)
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by sora_hikari | 2014-11-08 18:18 | 中野知昭 展