「山本亮平 有田白磁の系譜」 灰釉溝縁皿

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 灰釉溝縁皿 径15cm 高さ4cm 3780円(税込)

山本亮平展 ~有田白磁の系譜~」(~5/20まで)の3日目。写真は、今回の個展を象徴する「灰釉溝縁皿」です。この展示会は、有田白磁の系譜を辿ることをテーマにしています。この唐津風の灰釉皿が磁器が完成する前後のものであったという認識で、その再現に臨んだ作風になります。山本さんの工房のすぐ近くには、有田草創期(1600年~1630年)の古い窯跡があり、そこからは、このような灰釉の陶片や初期伊万里の白磁片が混在しながら出てきます。写真の上にある陶片は、山本さんの家の隣の畑から出てきたもので、当初はこれを写して作ることがきっかけになり、今回のような仕事がスタートしました。写真下は山本さんの新作になります。唐津から派生した窯は、その周辺であった有田方面まで広がりました。当初は、朝鮮からの陶工が磁器を作るための方法を用いながら、純粋な材料が見つからずに、このような色合いの器が作られたのではないかと考えられるそうです。事実、材料も粘土ではなく、砂岩を使った磁器質に近いものが使われています。焼き締まりは硬く、たたくとキンキンと高い硬質な音がします。山本さんは、当初はこの形を写すことから取り組みましたが、やがてその素材感まで近づきたくなり、砂岩を砕いて材料にし、庭木の灰と砂岩を合わせた釉薬を作り、薪窯による焼成など、なるべく当時の方法に倣って、これを再現することを行っています。東京出身の山本さんが、有田で焼き物を学び、そこで暮らし、そこで作り、そしてその歴史を掘り下げていく。作家として自分の作ってきた白磁の原点に近づいてみたいという純粋な気持ちに突き動かされた結果が、このような器作りに繋がっているのです。生産効率からすれば遠回りの仕事になりますが、そこからしか近づけない「質感」を追ったのが、この「灰釉溝縁皿」なのです。


山本亮平展 ~有田白磁の系譜~
2014年5月10日(土)~20日(火) 会期中無休
営業時間 11:00~18:00  
ギャラリーうつわノート(埼玉県川越市) 地図

「山本亮平 有田白磁の系譜」 灰釉溝縁皿_d0087761_2384574.jpg「山本亮平 有田白磁の系譜」 灰釉溝縁皿_d0087761_2385944.jpg
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by sora_hikari | 2014-05-13 01:21 | 山本亮平2014

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