「松村英治・左藤玲朗二人展」 左藤玲朗さんの器

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松村英治・左藤玲朗二人展 ~琉球の風~」(7/27~8/6)。会期は明日8/6迄となります。本日は、左藤玲朗さんの器について。左藤さんは、現在、千葉県の長生郡白子町で製作しています。九十九里浜が間近なところです。左藤さんは、普通大学を卒業後、沖縄と長崎の硝子製作所で修業後、兵庫県で独立しました。日常使いのガラス食器に特化した作家としてのスタートです。スタジオガラスという1970年代に米国ではじまった個人によるガラス作家工房のムーブメントは、やがて日本にも影響を与え、独立型の作家を生み出していきました。当時は、もっと作品的なガラスを作る事が主でしたが、90年代後半から2000年代にかけて、日常向きのガラス器を作る作り手が増えてきました。その流れの中に左藤さんも置かれます。ガラス製作の場合、個人でガラス窯を所有し稼働させるのは、なかなか大変なことです。陶磁器と違って、常に窯の中のガラスを溶解させておく必要があり、その為の燃料費の負担は、固定費としてのしかかります。その為に、ガラス教室を併設したり、もしくはレンタル工房で作業をしたり、作り手ごとにコスト管理の工夫が必要となってきます。左藤さんの場合は、個人で窯を持ちつつ、作品的な方向は追わずに食器づくりに専念しています。それは、用途のある道具が美しいと思うから。その手から生まれるガラスは、生活に馴染み、使い勝手がよく、愛着のある器。ちょっと昭和レトロで懐かしく、温もりのある器。研ぎ澄まし過ぎず、かといって野暮ったくならず、モダンとレトロの中間ぐらいの親しみ易さが魅力的です。個人で出来る範囲を知り、身の丈に合わせながら考える食器づくりは、必然的に生活と密着した使い勝手を備えています。その為に、作業記録を作り、細かな改良を日々続けています。左藤さんは、沖縄などの民芸のガラスが起点にはなっていますが、地域型の民芸の枠を超え、今生まれつつある民衆的工芸を実践しつつあるように思います。


松村英治・左藤玲朗 二人展 ~琉球の風~
2013年7月27日(土)~8月6日(火) 会期中無休
11:00~18:00  
ギャラリーうつわノート (埼玉県川越市) 地図

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by sora_hikari | 2013-08-05 18:58 | 松村英治・左藤玲朗2013

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