2013年 08月 04日
「松村英治・左藤玲朗二人展」 松村英治さんの器
「松村英治・左藤玲朗二人展 ~琉球の風~」(7/27~8/6)を開催中です。会期はあと2日となりました。本日は、松村英治さんの器について。今回の展示会では、「琉球」をテーマに、松村さんの様々な釉彩の器が並んでいます。三色の釉薬による「三彩」は、その代表作。三彩は古来、中国の唐三彩で知られますが、当時は副葬品に主に使われた加彩の技法でした。本展に並ぶ三彩は、それよりもずっと時代は近づいて民芸を軸とするものです。沖縄、鹿児島、山陰、瀬戸など今でも地域色のある器として作られています。その元は、民藝運動の素となる濱田庄司やバーナードリーチの影響があるでしょう。松村さんの器は、焼締めと釉薬モノの両方の作風があります。焼締めは、本焼きを3回繰り返す過程で、使い易いように磨きあげた独特の質感で、根強い人気があります。また釉薬モノは、ガラス質を活かすべく、釉を流れる程に艶やかにするのが、松村さんの特徴になります。焼成で釉薬を流し過ぎると、窯の中の棚板に付着してしまうリスクを伴いますが、敢えてそれを厭わず、艶と流れを求めています。その釉薬モノの製作の実績が、今回の三彩の器で溶け合う色となって結実しています。沖縄では、無釉の焼締めを「あらやち(荒焼き)」、釉薬ものの器を「じょーやち(上焼き)」と呼んでいます。松村さんが作る焼締めと釉ものは、まさにあらやちと、じょーやち。元来、南洋の大らかな器を基にする松村さんの器の方向が、今回の「琉球」というテーマで、ひとつに繋がったように思います。さらに、男っぽいダイナミックなろくろ仕事が魅力の松村さんの器ですが、今回は器の手取り、バランス、サイズも使い易くチューニングされていて、大胆さと細やかさを合わせた器に昇華しています。「三彩」の他にも、愛知県で多く生産される「いちじく」の木を灰を釉薬に使った白濁の器や、深い青にこだわった藍色の器など、新たなチャレンジをした器が並び、見所も一杯です。かつてない程、集中した数カ月であったと聞きます。会期も残り少なくなりましたが、どうぞこの機会に松村英治さんの器をご覧ください。
松村英治・左藤玲朗 二人展 ~琉球の風~
2013年7月27日(土)~8月6日(火) 会期中無休
11:00~18:00
ギャラリーうつわノート (埼玉県川越市) 地図
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by sora_hikari | 2013-08-04 20:35 | 松村英治・左藤玲朗2013